ひば

熱血司祭のひばのレビュー・感想・評価

熱血司祭(2019年製作のドラマ)
5.0
毎話とても楽しみですごく面白かった。いっぱい賞とっただけある。超人が多すぎるというかプラス要素はあるほどよいという無限足し算精神こんなん嫌いになれないじゃん。クダム区魔物しか住んでねえな。だってキムナムギルが「俺の目玉焼きだぞ!!!!!」ってバカ騒ぎするんだよこんなん夢のキムナムギルじゃん。パッケージの3人が悪を成敗する話かと思ったら誰も味方じゃなくて足の引っ張りあいしてて笑う。お前たちが闘うべき相手は別にいるだろ。ビンテージな笑い寄りだしとてもクレバーとは言えないのにぽかぽかしちゃう。ジャンルが韓国ノワールなら今ここでみんな死んでたけど死にません!何故ならコメディだから!ガハハ!!!安堵の笑いが止まらんな!!!オープニングの激しさから敬虔な聖人君子のドラマではないなこれ笑ってたけどほんとに断罪と地獄送りしか考えてない、悪を説教しないで殴る。まるで視聴者の感情が駄々漏れしているような導き。いや許しは?とにかく司祭がいきなり大声出すんだけど、いきなりでかい声出すな言われても聖職者同士けっこう大声で話してるのにな。この主人公の司祭は感情変化があまりに激しいという一種の症状持ちでマジなカウンセラーが用意されたくらいなのでそういう話。お前のは怒鳴っているだけ、司祭は怒って終わりにしてはいけない、お前の痛みで人を助けよ。冷笑仕草を続けてると殴る側に加担するようになる。だから怒りを適切に扱い表すことを忘れるなとそれは今のわたしにはとても優しいものであった。さらっと出る「一緒だから不安じゃない」「後ろめたさがなくなったからだろう」という背中の押し方も、神を否定せず自尊心と自立を促すあたたかいものだった。
カトリック教会、性的虐待から逃れられなくて大変。それで倒れなきゃ宗教間の争いに持っていって共倒れを企むな。キムナムギルは元々声が良いから&駄々こねた子供みたいな怒鳴り声のハイブリッドでもっと怒鳴ってほしくなる今までみたことないタイプだ。すごいかわいい。怒鳴り声をもっと聞きたくなる。おい!の意味でヤァ!って言うのがもうかわいくない?ネイティブからしたら嫌な響きなんだろうけどさ。
みんなとてもよいキャラクターで生き生きしててどこか愛嬌があって脇役の脇にいる人まで自然と覚えちゃう。移民を脇を支える役に持ってくるのもすごい。外国人労働者(とはいっても韓国俳優なのがまぁあれだけど)に韓国語の発音がややこしい早口言葉を言わせいじめるとかエグいことも出てくる。元神童子役だった人が出てくるんだけど、なんでその道は行かなかったのかはわからんのだけどそれでも挫折し夢破れた儚人ではなく充実した人生を歩んでたのがすごく良いなと思った。わたしはでかい声で笑う女の人が大好きだしお飾りな女が一人もいなくてそれもすき。最高のシスターフッドもある。韓国作品、女性へのルッキズムの視線は厳しいのに男性へのそれには甘くてイケメン押しがされるのはカウンターなのか?なくてもいいと思うんだけどな。これは兵役とはまた別かもしれんけど兵役でトラウマ抱えるの多すぎではと苦々しい気持ちになるので韓国…そこをなんとか…
公権力のあり方を内側外側から見せてもらった。まぁまぁ怒んなよって他人事で促すことができることこそ特権階級であり、例え悪事を働かなくても公権力が黙ったり見てみぬふりをした瞬間に弱者がそのツケを払うことになるのだという罪に自ら向き合いどう償うべきかを自主的に取り組んでて溜飲下げて終わらない偉い!法治国家で捏造はダメだろと思いつついいのかまぁそういうノリかと思ってたけどちゃんと向き合ってて偉い。公正な正義と権力が正しく使われる世界。ただこうありたい、人にはこうあってほしい、そうあるべきと願う正しさを全うするってこういうことだろという姿を見せてくれたのはすごく良かったと思う。正しいことをすれば正しい方法で救われる、因果応報ってそういう意味でもあるでしょう。
映画ネタが多すぎて回収しきれないぞ!ピンポイントの新しき世界、汚いキングスマン、もちろんキャスト出演作のオマージュも。全部追いきれない。一発ネタを一発で寝かせないとこがすきだぜ。おでこが好きなので髪で額を隠さんでほしいと常日頃思ってるのでありがとうみんなありがとう。かわいくてしゃあない誰だ誰だ誰だあの番犬の番犬は(フンソクさん)とまた男に忠誠を誓う男をすきになってしまった…韓国、マフィア主従と司祭師弟に並々ならぬ情熱がある。
終わっちゃって寂しい。クダム区のみんなに会えないと寂しい。円盤買おうかな。次のシーズン待ってます
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