浅野公喜

バスケット・ケースの浅野公喜のレビュー・感想・評価

バスケット・ケース(1982年製作の映画)
3.5
NYのミッドナイトシアターで当時父が観た、と言ってた作品(深夜なのにかなり人が入っていて、出演していた黒人の女性も観に来てたとか)。

雰囲気はどう見てもB級C級映画で、「兄」に人が襲われるのをただ観るだけでも楽しめますが、切り離された兄弟の絆・確執・嫉妬が描かれており、ある意味超異色な愛憎劇として捉えることが可能かも。弟のように言葉を話せず叫ぶ事しか出来ない、弟のように人を愛し愛されたくても愛せない愛されない、むしろ襲う事しか出なくて怖がられるだけの兄には終始哀愁が漂ってます。そしてエンディングの「ネオンライト」の辺りには二人の強い絆が・・。

それにしても映像の質も含めカクカクしたストップモーションで描かれる兄が一人で部屋で暴れるシーン辺りを観ると、この作品が80年代前半に作れたとは思えない位チープです(笑)。反対に(おそらく)スタッフが兄を操っていると思われるシーンは手の動きも異様に滑らかな為、よりそのチープさが際立ってます。意外と真面目なストーリーとこの当時でも前時代的な描写の組み合わせがまた作品に愛嬌をもたらしているんでしょうね。
浅野公喜

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