松井の天井直撃ホームラン

大河への道の松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

大河への道(2022年製作の映画)
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☆☆☆★★

〝 忠敬さん地図作らなかったってよ 〟

志の輔落語未観劇。

小説版読了済み。ほんの少しだけの感想で。


原作だと全体的に現代パートがほとんどで、過去パートはほんの僅か。
それが、映画化では完全に逆転、現代パートは《大河ドラマ化計画》が始まる最初の部分が大半を占めていた。
(ちょこちょこっと現代パートには戻る)


他には、無名ながらも勉強熱心な脚本家は。元有名だったのに、過去にわだかまりを持つ脚本家へ。
演じる橋爪功は、如何にも…と言った偏屈振りを発揮していて、観ていて面白い事は面白いのだが。幾ら高名とは言え、少しばかり態度が高圧的なのが、一々気にはなる。
まあ、そうゆう風に演じて欲しい…ってゆう注文が有ったのでしょう。

忠敬さんの内縁の妻役には北川景子。
本来ならば優に50歳後半の人だった筈だから、これは流石に北川景子では若すぎるのはどうなんだろう?この監督作品に以前主演で主演している関係から、監督お気に入り…ってところがあるのだろうけど。


現代パートの登場人物達が、それぞれ過去パートの〝 名も無き偉人達 〟となり。《忠敬さんの偉業を盛り立てる役》として演じる…とゆうのは、小説版を読んでいて「何となくそうなるだろうな!」との予想はついた。
それだけに。それらの登場人物達の中の何人かは、無理矢理に現代パートにも登場したりと。脚色上での苦労は多少見てとれる。

「歩くだけで地味すぎません?」

「戦わないとね〜!」

「でも色々な地元の有名所や、食べ物が紹介出来ますから各県と提携出来れば…」


いやはや、大河ドラマへの道って大変なんですね〜

中井貴一は、ここ最近での『嘘八百』シリーズであったり。『記憶にございません』等、そのコメディー演技には年々磨きが掛かって来ており。その安定感は今の邦画界には貴重な存在感を増して来ていると思う。
森繁…とまでは言わないけれど、その域に近づいていって欲しいと思う。

中井貴一の部下には松山ケンイチ。
何かと直ぐにネットに頼る【世間知らず】な若者役。
登場して暫くは、少しだけ苛々する役だったのだけれど。暫くすると過去パートと併せ、画面に《ニョッキっと》顔を出すその雰囲気の、そのコメディー要素が面白かった。
コメディー俳優としての素質はまだまだだとは思うのだけれども、今後の松山ケンイチにも期待したいと思わされた。

コメディー演技の達者な人が多ければ多いほどに、その作品に漂う深みは強くなると思っています。
本作品は、その内容・演出であり、脚本的な辺りはもう1つ…と言った作品だったとは思いますが。
その辺りの不満点を緩める働きをしていたのは、作品に登場する俳優さん達の達者なコメディー演技の賜物だったのだと思いました。


2022年5月25日 TOHOシネマズ錦糸町楽天地/スクリーン12