むさじー

ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズのむさじーのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

<ブラックな笑いとセンスで魅せるクライム群像劇>

大麻の売人から金と大麻を強奪しようと狙うギャングがいて、それを横取りして賭博の借金を返そうとするチンピラがいて、そこに賭博元締めとマフィアが加わって、大麻と現金、骨董品の古銃が人から人へと渡っていく。
登場人物が多すぎて、そのキャラや関係性が理解できるまで時間がかかるが、ストーリーは思いがけない方向に転がり、やがて繋がり収束する。
ギャングは隣人に狙われているとは知らず、チンピラは奪った大麻がマフィア配下の物とは知らず、下請けの強盗は依頼主の顔を知らなかった。
そこに鉢合わせの“偶然”も加わって、全く先が読めない。ご都合主義は否めないが、ワクワクの面白さがバカバカしさを大きく上回る。
登場するのが強欲キャラばかりで、結局最もご利益を得たのは、分をわきまえている子煩悩な取立屋だった。銃の価値を知りながら奪おうとせず、譲った相手にその価値を教えてあげる親切、シニカルな視線が見える。
練られた脚本とブラックな笑い、テンポの良さとオシャレな演出。本格的なクライムものとは違った味わいがあるクライム・コメディの傑作である。
むさじー

むさじー