回想シーンでご飯3杯いける

私の帰る場所の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

私の帰る場所(2021年製作の映画)
3.5
第94回アカデミー賞短編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた作品。題材はアメリカのホームレス。

ぱっと見のビジュアルは綺麗だし、ナレーションも少なめなので、サラッと見ていると物足りなさを感じてしまうかもしれないけど、当事者の生活を淡々と捉える映像や、独白中心の構成は、真の意味でドキュメンタリーなのだと思う。発達障害や家族不和、日本に比べて高額な医療費等、それぞれの経緯があって家を失った人達。

監督のメッセージは言葉にせず、構成と映像で伝えている。度々挿入される都会の綺麗な空撮。そこから地上にズームしていくと、ゴミだめのような場所で暮らすホームレスの姿にピントが合う。平穏に思える僕達の生活のすぐ傍で、そこから零れ落ちてしまったホームレスの生活がある。この問題が他人事ではない事を伝える的確な描写である。