jami

グレイマンのjamiのネタバレレビュー・内容・結末

グレイマン(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

🪙消化不良は勿論ワザとで、これだけほんとに徹頭徹尾ちゃんと作ってくれると、「続編たのしみに待ちます!」という、ただそれだけの絶賛になる。
🪙『エンドゲーム』や『トゥモローウォー』と似て起承転結を何個も用意することで満足度を高めるやり方。ハリウッドのトレンドなのかな。エンドゲームの全世界興行収入の記録を受けて脚本分析が進んだのかもしれない。
🪙キャスティング、スタイリング、演技や光、シルエットを用いた演出、ゲームのレベルデザインのような美しい空間、世界を股にかけるロケーション、ドローンを使った気持ちのいいカメラワーク、全てが「アメリカ版007」と言いたくなるような、ウェルメイド感。実際にセリフの中で、「シックス」の由来がオマージュ(7に一つ及ばない数字)であることが、ほのめかされる。
🪙第一印象は、ゲーム的想像力で作られている、ということ。俳優たちの顔の高級感や、テキパキとした展開、任務遂行シークエンスなど、SF的な(現実世界のリアリティを優先していない)画面作りであり、ゲーム的である。
🪙いつになったらお話が面白くなるのかなと待っていたが、ちゃんとアクション映画的に面白くなって、それが一段落して冒頭30分が経過。Aパート終了である。もう30分だけ見るかと思ったら、やはり1時間ちょっとのところでキリがよくなる。残りは翌日に見た。
🪙最近の脚本はドラマの数話を2時間にまとめたような構成であり、最後まで見てもエンタメ的満足度以上の感覚がなく、そんなことはアクション映画なので分かりきっていることだが、本質的には、案の定の消化試合ばかりだった。しかしそれも、そうは感じさせない工夫があり、この映画に娯楽映画としての瑕疵は一つもない。
🪙主演の顔はSFが似合う。ずるい顔だ。何あのウィンク。惚れてしまう。悲しげな佇まいは持って生まれたギフトだ。新たな優れたヒーローコンテンツの誕生には祝福しかない。手錠のシークエンスは、とてもミッションがインポッシブルで良かった。
🪙10年に渡り、アメリカの良心の象徴とも言えるようなヒーロー(世界的コンテンツの中心的キャラ)を演じてきた彼が、ヒットラーのような髭を生やして、拷問して、変態っぽく笑ったり、直ぐキレたり、子供を傷つけたりして、火傷如きで喚いて、みっともなく負けるわけだが、普通こういう映画は、敵役もある意味では魅力的であろうとするはずだが(ましてやラスボス)、種々の嫌悪感(圧倒的小物感含む)を煮詰めたようなものを目指しており、ところがそれでも俳優自身の魅力によって造形が嘘っぽくなってしまっている。メタ的にはイメージの払拭を頑張っているようにしか見えないが、それも実際うまくいっていない。というわけで、次回作(本家に倣ってナンバリングはしなさそう)は敵キャラの造形がどんな感じになるのか楽しみ。
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