Shelby

めぐりあう時間たちのShelbyのレビュー・感想・評価

めぐりあう時間たち(2002年製作の映画)
3.9
時間軸の違う3人の女性の物語。ただ3人を繋ぐ共通のものといえば、ヴァージニアウルフのダロウェイ夫人という物語。
ニコールキッドマンの華やかな美しさを一切取り除いた彼女の演技には驚いた。
文学的で、胸を締め付けられる作品。

同じ女性だからこそ、彼女らを否定するつもりは毛頭ない。寧ろ一女性からみても、共感できるところはきっとあるはず。
この年になって、ようやく分かり始めてきたのは、女性とは非常に複雑な生き物である。笑っていても心の中ではドス黒いものが渦巻いていたりするし、見せかけだけの愛を演じることもできる。かと思いきや、一瞬の愛を胸に秘め、同じ人を思い続けられることもできる。しかし、根本は柔らかく繊細で、優しい生き物。そんな女性達の物語。

僕が死んだら怒るかい?とエイズに侵されたリチャードに問いかけられ、看病し続けるクラリッサが優しく諭す。

〝お互いのために、生き続けるの〟

美しい思い出で結ばれている2人の間には弱々しいが、確かにそこに絆はあったはず。

人間は、幸せには鈍感なのに、寂しさには敏感な生き物だと思う。自ら幸せな人生を放棄する人もいれば、それを心の底から渇望している人だっている。人生をどう選択していくかは、良くも悪くも自分次第。
決して明るく楽しい映画ではないけれど、私たちの近くにも確かに存在する物語だと感じられた。
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