【先に言えよ!】
アマプラ見放題に入荷したので、昨年のヒット作ということもあるし、見てみた。
ONE PIECEには縁がなく、原作もアニメもあまり触れていない。これは独立した一本としてフツーに見ましたが、売れるのがよい映画とは限らない、というよい例でした。
“既知外に刃物”に陥った既知外をなだめる話で、TVシリーズの1話分で回収できる内容。実際、こういう話って過去のTVアニメに幾度もあったし、ワンピでもあったんじゃないか?
30分枠で済むものを、物量盛って115分に引き伸ばしてある。歌と必殺技カタログばかりで延々、時間を埋めているなぁと。これじゃ映画として面白くならんよなぁと思った。
大悲劇に膨張してしまう切なさ的なのをやりたかったのかな?でもコレ、主要関係者がふつうに意思疎通していれば充分、防げていた事件でしょ。拗らせた本人が一番悪いが、周囲がふつうに向きあっていればよかっただけのこと。大切な人だというなら、特に。
“先に言えよ!”ってだけの話。
本人が実は知っていた…とか言い出したりもするが、え、それ自業自得マシマシじゃん。
この件はじめ、実は確信犯だったという犯人のシリアルキラー的言動も含め、辻褄を合わせるため、アタマの中だけで考えた絵空事としか思えない。
アレだけ多く、他人の心をあたたかくできた確信犯なのに、そこから全く逆行する選択ができるのは、ナゼ?
歴史的には、既知外教団の教祖が、集団でアレしちゃった事件ってあるが、それと同じ類?
この底抜け話じゃ感動なんてムリ。イントロの段階で、ワンピって対象年齢こんなに低かったっけ?と拍子抜けしたし、自分はお呼びでなかったんだろうとは思うけど。
でもなあ、新海誠の映画も毎回どこか底が抜けているし、こんな症例、増えてる気がする。
と、舞台の“大海賊時代”は、一応は史実の“海賊の黄金時代”がモデルなのでしょう?ビジュアルや名称などからしても。で、そこでエレジアという名の音楽の孤島から、Jポップが日本語で発信されて、世界を席巻してしまう…て展開に、むちゃくちゃ違和感ありまくり。
音楽だって必ず、歴史と文化を背負っているわけで、ナゼJポップなんだかナゾ過ぎる。
Adoの楽曲は、それだけ切り出せば力を感じるけれど、ウタ役の声優とも声がまるで合っていないし、口パクのモノマネ芸かなんかを延々、見せられている気分だった。
最後になって、現実逃避させる悪魔の音楽であったAdoの楽曲が、皆に好まれるようになりました…と締めているけど、元々ふつうにヒットして、聞いた人は喜んでいたのだから、やっぱり“先に言えよ!”で済んだ話だよなーと思うしかありませんでした。
海賊なら海賊らしい物語を見せてほしかったです。
<2023.3.13記>