雨丘もびり

エルム街の悪夢の雨丘もびりのレビュー・感想・評価

エルム街の悪夢(1984年製作の映画)
4.0
【とてもやさしく、慈しみ深いスプラッタ映画】
「おとうさんきこえない?魔王だよ。ぼくにささやいてくるよ。」
「息子よ、それは風がわなないている音だ。」
   
監督ウェス=クレイブンはユング派の心理学者だと聞いてから観たので、その世界観の影響をより強く感じました。
とにかく、登場人物たちが"下に降りる"描写ばっか続くw。
下に降りてゆくと、すべての人が"恐怖"する世界に到達する。
    
【いつから睡眠が快楽になった?】
大人になると、とにかく寝たがる。
身体や心の不都合を"リセット"にしたくて、睡眠に逃げる。
そして子供にも、睡眠を強要する。
意のままにならない面倒な生き物のスイッチを切ろうとする。
子供は寝るのが嫌いだ。
嫌いだった、はずなのに.....
   
赤ちゃんは寝落ちる感覚が怖くて泣くってほんとかな?
死の恐怖で泣くってほんとかな?
↓↑
大人って、寝落ちる感覚が気持ち良いのかな?
大人って、ふっと死ねたら幸せなのかな?
   
【大人vs.子供】
本作に登場する大人、押しなべて子供を軽視し、やんわり封殺する。
コトを荒立てたくない、自分が信じる平常に均したい。
劇中濃厚にただよう、大人への不信感。男性原理に突き刺され、蹂躙される不条理が胸にキますね。
かなり悪意を感じる描写
子供たちの抱く、取り合ってもらえない無力感と憤りが、じゅぶじゅぶと溜まっていき、とうとう氾濫するサマがツラい~ッ(-"-;)。
   
この映画って、大人にとっても睡眠が不快になるお話。
睡眠に逃避できなくなる苦しさ。
途方もない力に屈するしかないもどかしさ。
つまり、子供と同じ世界観に立ち返えれる映画なのでは?
   
ラスト。
悪夢にくるまれ、仲間とともにどこかへ連行される子供たち。
母親もその悪夢に殺害されておわり。
何も知らない幼児たちは、ほんのり怖いわらべ歌を歌いあう。

【恐怖におののいて抱き合え】
監督は 大人も子供も同じように恐怖する映画を、作りたかったのかもしれません。
断絶した個々人が、共通の恐怖を前に、気持ちを一つにできる安心。
怪人がDIYでカギヅメを作る冒頭部分を思い返し、監督の人間愛を感じました(笑)。
   
・・・半面、アタマで考えさせられる映画なので恐怖感は薄いし、どうしても時代を感じさせる映像だし、字幕の口調は古くて萎えるし、安心して観れちゃう感じはした。
それでも充分、私は面白かったです(^^)。アドラーの方が好きだけどさ。

ぜんぜん狙ってなかったけどJ.デップ出演作観るの続いたわ。
っていうか、出てた?
言われても気付けないくらい人相が違う(^^;)