傑作。
アニメーション制作なんて地味な題材を、よくぞここまでダイナミックなお仕事エンターテイメントに仕上げたものだ。
吉岡里帆演じる新人監督と、彼女の憧れの人であるレジェンド監督の中村倫也が、同じ時間枠のTV作品で激突する。
軸となるのは吉岡里帆で、初監督なのでとにかく余裕が無い。
最初からキチキチなのにイベントで「勝ちます」とか言っちゃったから、余計に追い込まれてゆく。
中村倫也の側も、一度ヒットを出した者だけが分かる、強烈なプレッシャーに晒されている。
この業界のブラックさもきっちり描かれてるが、彼女らは現状で精一杯あがくしかない。
業界あるあるの(半分くらいは自分で招いてる)ハプニングの連続に加えて、なぜこの仕事を志したのバックストーリーも効果的に織り込まれている。
クリエイターとして異なる段階にいる二人の、それぞれの成長物語としても秀逸だ。
Pを吊し上げるTV局の会議がゼーレの秘密会議状態だったり、色んな作品からのさり気ない引用も楽しい。
異色のオリジナル作品「水曜日が消えた」の吉野耕平監督は、二作目にして見事に傑作をモノにした。
元々CGアーティストらしい、凝ったビジュアルデザインも見もの。
しかし最終回トラウマアニメって、昔は結構あったんだよな。
以前某アニメのリブート企画で、物語制作にチームで参加したとき、ラストで主人公殺しちゃって、原著作者の逆鱗に触れてクビになったの思い出した。
実際に作られた作品(主人公は死んでない)はクソだったから、あの判断は間違って無かったけど。
ところで、エンドクレジット後に粋なオマケがあるので、席を立たないよ〜に。
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