ふぃるま

ハケンアニメ!のふぃるまのレビュー・感想・評価

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
3.8
この映画、なかなかに良かった。

主人公の女優さん、近頃CMなどでお見かけする、多分どん狐の女の子だと思うが、この子の熱すぎないところが、この映画には合っていたと思う。

こういったお仕事ものって、ともすれば主人公の熱さだけがピックアップされ、熱けりゃいいってムードになりがちですが、この子が演じるとどうしても暑苦しくはならない。
常に可愛げが漂っているのだ。

この映画、人間を一面だけで描いていないところが良い。

ライバルの天才監督は、彼の苦悩や地道な努力を描いていて血の通った人間になっているし、プロデューサーの女性も、言い分の食い違う上と現場の間で翻弄されつつ、静かに、でも決意を持って戦う姿を描いていた。

俳優の良さもあったと思うが、おそらく脚本がいいのだと思う。

仕事仲間のアニメーターや声優さんたちが、いちいちこんな人いそうって感じで、でもうるさくなく、おそらく俳優さんたちは、やり過ぎないように演じていたのだと思える。こういうの、リアリティだよね。

劇中、主人公がつぶやく「刺され」という言葉は、多くのものづくりの仕事をする人たちの叫びなのだ。グッときた。


あとこれ、原作があるみたいなんですが、映画にすることで、作中で作っているアニメを直に観られる。と言うことは登場人物たちの仕事の成果を観ると言うことにもなり、その点でも映画化する価値は大いにあったと思う。

ただ、小説では「素晴らしいアニメ」「絵が綺麗」とだけ書けば良いが、映画では実際に素晴らしいアニメや美しい画を作らねばならず、そこがもしかしたらこの映画で1番しんどかったところかもしれない(笑)。
ふぃるま

ふぃるま