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ハケンアニメ!のmaroのレビュー・感想・評価

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
4.0
2022年日本公開映画で面白かった順位:44/76
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

アニメの制作現場におけるすったもんだを描いた映画。
原作小説は未読だけど、テンポよく進んでいく観やすい内容だった。

この映画では2つのアニメの制作現場を並行して描いているけど、そのどちらも胃がキリキリする想いだ(笑)
『サウンドバック 奏の石』では、モノ作り優先の瞳(吉岡里帆)がビジネス優先の行城プロデューサー(柄本佑)と反りが合わずストレスを感じるところに共感。
『運命戦線リデルライト』では、こだわりの強い王子監督(中村倫也)と放送局との間で板挟みになる有科プロデューサー(尾野真千子)の気苦労にまたまた共感。
アニメを作る上で耳にする「あるある」を盛り込んではいるものの、実際他の仕事でも同じようなことはありそうだなと、社会に出て働いている人にはちょっと胃が痛く要素がある(笑)

ただ、やり方は違えどみんな「いいアニメを届けたい」という想いは同じ。
特に監督2人のアニメに対する並々ならぬ想いが身に沁みる。
王子がイベントで語った熱いアニメ愛。
そんな彼に憧れて、公務員からアニメの世界に転職した瞳。
特に瞳は、王子を超える監督になってアニメを作ることで、幼い頃の自分と同じような子供を救えると信じて日々精進していた。

だから、行城に振り回されても、名前すら覚えてもらえてなくても、今こうして監督という立場でアニメ制作ができていることがうれしいと語気を荒げて言うシーンは、吉岡里帆の迫真の演技も相まってとても印象的だった。

アニメに限らず、創作物って現実を生き抜く力を与えてくれるからね。
少しでも「明日もがんばって生きよう」と思わせてくれる力が、コンテンツにはあると思ってる。
そんなコンテンツを作り上げる人たちの生き様がビシビシ伝わってくるのが、この映画のいいところ。

そんなわけで、アニメ制作の裏側を知ることができる興味深い映画。
劇中で使用されている2本のアニメも、最終回の数分ぐらいしかちゃんと流れないのに面白かったし、人気声優さんも起用しているので、アニメ好きな人の方がより楽しめると思った。
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