さうすぽー

ハケンアニメ!のさうすぽーのレビュー・感想・評価

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
4.5
自己満足点 88点

「刺され!(誰かの心に)」
今年の新作映画で涙したのは初めてです😢
最高でした!
邦画お仕事ムービーとして大傑作!

辻村深月の同名小説原作で、2つのアニメ製作会社を舞台にアニメの「覇権」の座をかけて対決する様を描いた本作。
原作の小説がもともと大好きで、自分が普段あまりやらない「観賞前の読み返し」を行いました。


原作では尾野真千子演じる有科&仲村倫也演じる王子パートが前半で多めに描かれて、その後に吉岡里帆演じる斉藤監督&柄本佑演じる行城プロデューサーのパートが後半に来ます。しかし、この映画はどちらかというと斉藤監督が主人公でそのライバルチームが有科&王子という感じでした。
なので冒頭に斉藤監督のエピソードが来たときは若干戸惑いましたが、その方が映画としてはかえって分かりやすいものになっていたので英断だったと思います。


何といっても劇中アニメーションの本気度が凄まじい!!
その絵コンテの段階やプリヴィズ段階の映像も出てきますが、それを全て「PSYCHO-PASS」や「攻殻機動隊S.A.C」でお馴染みのProduction.I.Gが手掛けてるとのこと!
アニメーション製作の場面が映像を我々観客に見せながら展開されていくので過程が解りやすいし、「こんな風にいつも作られてるのか」と感心させられます。
キャラクターに声を当てる声優陣も実際の人気声優を起用し、アフレコが実際に行われてる場面も登場するので、梶裕貴さんや高橋李依さん、速水奨さんが実際に収録されてる場面も観れて本当に嬉しいです。

そして、主要人物であるスタッフを演じた役者陣も非常に良かった!
吉岡里帆や尾野真千子はいつも通り良かったのですが、特に素晴らしいのが王子監督を演じた仲村倫也と行城プロデューサーを演じた柄本佑です!
この二人は原作の人物をそのまま体現したかのように演技されていて、観てて本当にビックリしました。

内容としてはいわゆるお仕事ムービーですが、好きな事(やりたい事)をしたいと思いながらも、避けて通れない現実に苦労して、葛藤して...それでも「観たい人のために届いてほしい」というために頑張り、理想を貫きたいという彼らに感情移入しっぱなしでした!


自分はやはりアニメが好きです。
もちろん映画やドラマも好きですが、好きな作品がどのように、どんな思いで、どんなに苦労して作られているか知るのは容易ではありません。
ですが、「鬼滅の刃」しかり「呪術廻戦」しかり、映画だと先日観た「トップガン マーヴェリック」であったり、それぞれの作品のスタッフ・キャスト達が我々観客に対して最大限に満足させるために魂を捧げる覚悟で作ったことでしょう。

劇中では中盤や終盤にて、その色々な思いを込めて作ったアニメーションの放送を製作陣や視聴者が観るという場面がありますが、そのアニメのシーンと吉岡里帆や仲村倫也が観るシーンが交互に映される場面に色々な事を感じ取れて、涙せずにはいられませんでした。

そんな、作品の製作陣のドラマは「カメラを止めるな!」をも彷彿とさせるものを感じます。


だからこそ、アニメが好きな人、もの作りのドラマが観たい人には是非とも観てほしい傑作でした!
本当に、観て良かったです。