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ハケンアニメ!のionのネタバレレビュー・内容・結末

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

魂と命と睡眠時間を削る仕事

天才アニメ監督・王子千晴を超えるためにアニメ業界に入り、7年かけて監督に上り詰めやっと辿り着いたデビュー作。復帰作を手掛ける王子千晴に勝つため、ハケンを取るため、魂を削る決死のアニメ制作を描いた話。

面白かった。
制作には本当に色んな人が関わっていて、色んな人のそれぞれの思いが託されていて、魂がこもっている。

自分の作った作品が1人でも誰かのもとに届いて、誰かの中で生きて、人生の支えになったら。
それがどんなに大変なことでどんなに難しいことで、そしてどんなに尊いことか改めて思い知らされた。

新人は相手にされず舐められ、天才は期待に押し潰されそうになり、それぞれ血反吐吐きそうな思いをしながら作品を作り上げている。それも毎期毎期、何十もの作品が当たり前のように出来上がっていくのだから、目が回る。

期待と重圧と迫る締切の中で、0から1を捻り出すことの大変な苦悩。
その中でも、納得のいく形でないと世に出したくないというプライド。

この作品も、確かに大々的に覇権を握るような映画ではないと思う。でもちゃんと届いた人にグッと刺さるようないい作品だった。

映画で描ききれなかった部分をもう少し長尺のドラマにして、それぞれのキャラクターを掘り下げた回も見てみたい。
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