デルポトロ

私だけ聴こえるのデルポトロのレビュー・感想・評価

私だけ聴こえる(2022年製作の映画)
3.6
「CODAあいのうた」を見てから見たいと思ってた、聾者の親を持つ聴者の子供コーダのドキュメンタリー映画。コーダは親とのコミュニケーションのために手話を習得していることが多く、聴者の自分からするとバイリンガルのようにもう一つの言語を操れる人、というふうに思っていたが、コーダの当事者たちはどちらの世界にも居場所がないように感じていたり、親の通訳で自由がなかったり、分かり合える相手がいなかったりと彼ら独自の悩みを抱えている。(特に思春期には辛いやろうなと感じた)

周りになかなか理解者を見つけられないコーダの子供達にとって、コーダの仲間たちと集まるサマーキャンプは憩いの場のようで生き生きとした表情が見られてかわいかった。みんなで部屋に集まって声でおしゃべりをしながら、一方で手話でもおしゃべりをしているというシーンは楽しいし彼ら独自の美しいシーンで印象に残っている。

父親と手話で話していて、汚い言葉遣いを注意され「くそ」を「うんこ」と言い換えるシーンも楽しかった。

耳に不調を感じたコーダの少女が「このまま聾者になりたい」と話すシーンがあり、その想いの深さを聴者の私が推し量ることは難しいけれど、2つの世界を生きる素晴らしさを私は感じた。
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