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デーヴィド 二つの物語のとらキチのレビュー・感想・評価

デーヴィド 二つの物語(2013年製作の映画)
3.5
IMW2021パート3 ③
1999年ムンバイのデーヴィドと2010年ゴアのデーヴィド、この二人のクリスチャンの人生それぞれの局面が、旧約聖書のダビデ王のイメージと重ね合わされる。
具体的に言うと「ダビデとゴリヤテの対決」と「ダビデとウリヤの妻バト・シェバ」のエピソードとなる。
2人のデーヴィドの他にも、“漁師のペーター”といった旧約聖書、キリスト教を多分に意識した事柄が登場する。
ゴアのデーヴィド役に「カダラムの征服者」で謎に満ちたバッドガイを演じたヴィクラム。チョイ悪なイケオジ、そんなヴィクラムのイメージ通りな役柄。ムンバイのデーヴィド役がジーヴァーで、この人は、はじめましてだが、根の優しい感じが個人的にはスシャント・シン・ラージプートと重なる。
ムンバイパートとゴアパート、エピソードをまとめて段落的に語られるのではなく、散文的に両パートを行き来するので、結構集中力が必要かも。一応シーンのファーストカットはどちらかのデーヴィドから始まっていた筈なので、完全に迷子になる事はないとは思いますが。
クリスチャンがテーマの作品ながら、カトリックの神父とプロテスタントの牧師がごっちゃになっているのが結構気になった。一応インドでは神父も牧師もfatherと呼びかけるとのことですが。
今作の設定として、1999年のムンバイに生きるデーヴィドは当時19歳、2010年のゴアに生きるデーヴィドは当時30歳で、どちらも1980年の生まれということになる。コレが実はポイント。そして、勘のいい方にはネタバレになってしまうかもだが、人と人との“縁”について、いろいろ考えさせられる作品。もっと言えば、この12月に劇場公開された「悪なき殺人」の事を多分思い出す(ちょっと言い過ぎか⁈)そんな作品。
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