JunichiOoya

フェルナンド・ボテロ 豊満な人生のJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

3.0
招き猫のような丸々と可愛らしい造形を、二次元でも三次元でもその特徴とするボテロさんの曾祖父母から孫まで五代に渡るファミリーヒストリー。
とはいえアメリカのいわゆる伝記作家が描くような、はたまたどこぞの新聞の「履歴書」が描くような公式記録が並ぶので、映画としては平板で特に…。

それと、まるでかつての宗主国スペインのセレブリティ然とした子ども世代、孫世代が私にはなんとも違和感。
中国での企画展を例にして、「ピカソのゲルニカに匹敵するボテロの芸術」を謳いあげる文脈もちょっと。
どうしてもスペインのくびきを感じてしまう。

ボテロの描く、一見柔らかそうな人物たちが、一様に無表情な虚な瞳を持っていることにほぼ触れないままの映画だったのはなぜかしら。

コロンビアといえばエスコバル、エスコバルといえばメデジン。そこがボテロの故郷。その広場にはテロルで破壊された鳩のブロンズ像。そしてその隣には作り直されたもう一羽の鳩。その対比が映画の一つのクライマックスではあるのだけれど、実はカサデナリニョ(ボゴタの大統領公邸)にはもう一羽、こちらは純白の少し小ぶりな「平和の鳩」がいた。そのことも映画では触れられなかった。この鳩、現大統領のドゥケが撤去しちゃったんですよね。

ドゥケの次の大統領は今月25日の選挙で決まるようですが。(今の候補者たちは鳩を元の場所に戻すことを明言しているようです)
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