カルダモン

RRRのカルダモンのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
4.7
RRR!3つ揃ってFEVERRR突入!!!
これパチンコ台にしたら盛り上がるんじゃ?(私まったくパチンコ、スロットの類はやらない人間ですが、、)

1920年代イギリス領時代のインドを舞台に、ヒンドゥー教の叙事詩『マハーバーラタ』における英雄ビーマと、『ラーマーヤナ』の王子ラーマを語り直す。
ヒゲのオッサンとヒゲのオッサンのダブル主人公が既にして暑苦しさ満載なのだが、出会って2秒で親友になる二人はとても神々しく、文字通り映像でもって神格化を描いていく力業が圧巻だった。二人は互いに秘めたる大義を果たすために互いの道を並走し、交差し、手をとり足を取り、やがて運命は暴走して皮肉なる対立を迎える。中盤の火のラーマと水のビーマが真っ向からぶつかり合うシーンはもはや曼荼羅と呼ぶに相応しく、ビジュアルイメージが噴出していた。

大英帝国の描かれ方は記号的で、あからさまに悪役然としていた為に、ちょっと乗り切れない部分もあった。が、途中からこの映画の中ではとことん悪でいてもらおうと頭の中で変換し、物語を楽しんだ。
にしても最後は武器を手放していくものだと思ったのだが、そんなに甘くはなかったね。価値ある銃弾を、打つ価値のある人間にお返しする(=ブチ込む)。しっかりと使うべきところで使う方がいい。

マサラ映画とはよく言ったもので、現実味のないブッ飛んだ話が、不思議と映画のなかでは違和感なく混ざり合って複雑な香りを生み出す。というよりも違和感の塊がスクリーン全体に映し出されると違和感とはなんなのかさえわからなくなると言った具合。度量の深さ、底知れなさ、密度の濃さ。エンタメの力を信じて振り抜く力が超絶的。





余談
立川シネマツーでの話。上映前に劇場支配人と思しき方から満員御礼のご挨拶がありました。普段なら若いスタッフが鑑賞中の諸注意事項を案内してくれるこの時間に、語っていただいた内容は概ね以下のとおりでした。

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現在は大型作品が公開中ということもあり、こちらの小さいfスタジオで一回限りの上映となってしまうのですが、こちらでもメイヤーサウンドのスピーカーを設置しておりますので、RRRの音響を存分に楽しんでいただけるかと思います。皆様方の熱量の高さが伝わってきておりますので、いずれまた大きなbスタジオに戻して上映いたします。今後は応援上映の企画なども考えておりますので、よろしくお願いします。
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とのこと。
大型作品というのは一日に20〜30回という狂気のタイムスケジュールで回している某アニメ映画の事であり、ただでさえ過剰なマーケティングに辟易していたところに劇場占拠までされて、たまったもんじゃないと思っていたのですが、劇場側の忸怩たる想いが透けてくるような言葉に溜飲が下がる思いでした。
映画作品自体に罪はない。問題なのはいかに公開3日間の興行成績を伸ばすことに特化した力が働いているのか、という点。上のような発言が劇場側から出るのは異例だと思いつつ、気概に溢れた生の声を聞くことができて嬉しかった。
挨拶が終わり、自然と起こった満場の拍手。小さいスクリーンが大きな熱気に包まれて、他では体験したことのない空気の中で始まったRRRの上映でした。