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ダイ・ハードのsiaのレビュー・感想・評価

ダイ・ハード(1988年製作の映画)
5.0
「一番好きな映画は?」って映画が好きな人なら誰しも悩む質問だと思うんだけど、自分だったら多分この映画を挙げると思います。

『ダイ・ハード』には面白い映画に必要なものがすべて詰まっています。愛すべき主人公、練られた脚本、愉快な相棒、良いヒロイン、手強い悪役、かっこいいアクションシーン、そしてクリスマス・ソング。
しかしこの作品の最大の魅力はなんといってもシチュエーションの妙です。

『ダイ・ハード』と似たようなシチュエーションの映画は今日に至るまでたくさん作られてきましたが、本作のそれの活かし方はやはり抜群に巧みです。

この映画では、高層ビルという舞台設定によって主人公の行動に様々な制約を与えることで面白さを生み出しています。

外部にどうやって事態を知らせるか?他の階にいる敵とどうやって戦うか?どこへ逃げるべきか?連絡手段は?武器は?
そういった数多くのハードルを課すことで観客もまた主人公のジョン・マクレーンと一緒にどうしたものかと頭を悩ませることになり、ジョンが痛快な方法で状況を打開した時は思わず「イピカイエー!」と叫びたくなってしまうのです。

この主人公が、シュワルツェネッガーやセガールのようなゴリゴリの肉体派ヒーローというわけではないのがまた面白い。
圧倒的に不利な状況のなか、ブルース・ウィリス演じるジョン・マクレーンは実に泥臭く、工夫を凝らしながら着実に敵を倒していきます。

それにしてもこの映画を見ていると、展開のひとつひとつがとても丁寧に作り込まれているということがよくわかります。
序盤中盤のちょっとしたセリフやカットが、終盤の展開の布石として活かされています。

また、そういう伏線とはまた別に、細かい描写にも気を遣っているなと感じます。
全部挙げてるときりがないんだけど、たとえば裸足のジョンが倒した敵の靴を履いてみようとするシーンだったり、エレベーターに潜んで敵の名前をメモするシーンだったり。
普通の映画なら省いてしまいそうなちょっとしたシーンをしっかり描くことによって、ストーリーに真実味や説得力が生まれています。

なんにも考えずにのんびり見ても楽しいし、細かいポイントに注目しながらじっくり見ても楽しい。見れば見るほど好きになれる映画だと思います。
個人的には『ダイ・ハード2』以降もそれはそれで大好きな作品なのですが、それでもこんな風に楽しめる作品は唯一無二です。

クリスマスの時期になったらまた観たくなっちゃいそう。
Let It Snowが聴きたくなってきたなあ。


2020/12/25再鑑賞
sia

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