こうん

百花のこうんのレビュー・感想・評価

百花(2022年製作の映画)
3.9
才人というかやり手映画人というか、そんな川村元気氏の初監督作品、ということでハナクソほじりながら観に行きましたけど、ちょうど老境に差し掛かる母と壮年になりつつある僕とがそれぞれの変化の中で齟齬があり冷戦中…という現実を背負いながらの鑑賞だったので、複雑な思いで帰ってきました。
そうそう河合優美無双を確認しようと思ったんですけど、ほとんど映ってないじゃん、ふざけんな川村元気コラ。
なんかね、浅い映画だなーと思いつつも、おそらく40がらみの息子である川村氏の実感がこもっている気もして、あんまり批判する気持ちになれないのが正直なところでございます。
「さだまさしの小説かよ」といいたくなる文学気取りのタイトルとか流行の配役とかもろ「ファーザー」の映画表現とか思わせぶりだけど浅い表象とか、色々鼻につくんだけど、母の子宮から出てきた存在であるところで男は根源的になにか原罪のようなものを抱えており、それがつまり広義のマザコンという事なんですけど、この映画の中心にもそのマインドが据えられているので僕にとってすごい卑近だったというか、「鼻につく映画だけど超わかるその気持ち」というのがありましたね。
うちの母ちゃんは浮気して出奔なんかしてないけど、この映画の原田美枝子のような聖性と蒙昧さを(息子から見ると)携えておりますので、実はしんみりしてしまった次第です。
なんにせよ商業主義一辺倒な魂のない映画ではない、と思いまーす。
それにしても原田美枝子さんはさまざまな日本の母ちゃんを体現していて大変だなぁ。
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