ぐり

百花のぐりのレビュー・感想・評価

百花(2022年製作の映画)
3.2
数年前に原作を読んだとき、ラストで"これは絶対映画化するな…"と勝手に映像をイメージしていたので、映画化が決まったときはとても嬉しく、公開をずっと楽しみにしていました。

そして、ついに、鑑賞。

うーん、眠かった…

結局この映画は観客に何を伝えたかったのだろう?原作を読んだのがかなり前なので内容は要所要所しか覚えていませんが、、もっと深い話だった気がするんだよな〜、、🫠映像の美しさにこだわっていて、永遠ループする買い物や階段などの演出は良かったものの、"あまり語らない系"の作品が苦手な私には、やっぱり本作も難しかったです。

泉は決して"良い息子"とは言えない。みんながみんな、認知症になった親に優しく接することができるとは限らない。おそらく私も泉のように介護ホームに入れてしまう気がする。泉からはそんなリアルを感じられて良かったです。「こっちは忘れらんねえんだよ。勝手に忘れられちゃ困るんだよ。」という泉の言葉の通り、"忘れてしまう"人より、"覚えている"人の方が辛いだろうなと思う。覚えている方が辛いなら、いっそのこと全部忘れてしまう方がいいのかも、ね。

百合子も同様に、決して"良い母親"とは言えない。というか、彼女には"母親ですらない"時間があった。それが私はめちゃくちゃ無理でした…😔不倫するために息子を1度捨てたという事実が酷すぎて、彼女に対する共感や同情の気持ちが全く芽生えませんでした😔1度でも親に捨てられたことのある人の心の傷は、そう簡単に癒えないと思う😔

そして、作品の要素がどれも薄い。泉と百合子以外の登場人物はみんな"登場しただけ"って感じでした。特に、"人間"から"ヴァーチャルヒューマン"に変更されていたKOEは、最初はかなりチャレンジしたなと感じましたが、きっと何か特別な意図があるんだろうと期待していたので、正直とても残念でした。"人間"のKOEの方が良かったです。浅葉さんや香織の存在も弱く、もっと細かいエピソードがあれば物語に深みが出たんじゃないかなと思いました🫠突然の地震はただ怖かっただけだったな、、🫠ラストの"半分の花火"はちゃんと原作通りで良かったものの、それが何を意味しているのかは(映画では)伝わりにくかった気がしました🫠

総じて「そして、愛が残る。」かなぁ?って感じでした。私は監督としての川村元気よりも小説家としての川村元気の方が好きなのかもしれません。
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