喜劇映画専門だと思っていた瀬川昌治監督がシリアスなノワールを撮っていたことにも驚いたけれど、鑑賞すると意外としっかりとした作りになっていて違和感がないのにびっくり。犯罪計画を何者かに密告され警察に捕まった男の復讐劇は多少地味だけれど、夜の闇や霧などを巧みに使った映像や役者たちの熱演で見ごたえのある作品に。それに安藤昇の表情のない険しい顔立ちが『殺しの分け前/ポイント・ブランク』のリー・マーヴィンみたいでドラマによく合っている。
そして安部徹の死に様が結構エグくてかなりのインパクト。
ラストの雨が復讐に生きた男の結末を見事に締めくくるが、降っているところとあきらかに晴れているところがカメラが移動するとはっきり出て来てしまうという『アメリカの夜』みたいな現象が起きてしまうのに苦笑。
安藤昇と子供が遊ぶというレアな場面を見ることが出来る。