このレビューはネタバレを含みます
タイトルの意味は「初心者」らしく、それはこの監督ローレンハダウェイが、初監督作品ということもあるのかな。
大学のボート部の話。
「困難だからこそ挑戦するのだ」というケネディ大統領の言葉を盲信、というか狂信して、困難に自分を追い込む主人公のダル。だから苦手な物理も猛勉強。で、ボート部に入部。
そこで出会う同じくボート部に入部したブリル。一緒にがんばるという話ではなく、ライバル心をむき出しになるダル。
最初にコーチが、「catch a crab」を教えてくれる。「カニを捕まえる」のではなく、ボート用語で日本では「腹切り」と言われている。ダルはカニの幻想を何度も見る。で、カニが茹でられる。
ボート部のトレーニングルームは、天井の低いコンクリートの通路の向こう。なんか圧迫感があるし、うす暗い、
ボートを漕ぐシーンも雨だったり、ずっと暗い。
ダルは、コーチに教えられた「脚・体・腕」「腕・体・脚」を反芻する。
トップになるため、自分を追い込むダルは、まわりが見えなくなる。それが幻想のようなシーンでとても表現がいい。
「セッション」のように鬼コーチがいるわけでもない。自分との闘いでもある。
まわりのみんなも「リラックスして」と声をかける。優しいのだけど、そんな優しさはダルにとっては不要だ。トイレに入って、暴れて叫ぶシーンは、もう狂気。見ててしんどい。
レギュラーになるため、雷雨の中の無謀なレース。
どんなことにもトップにこだわるダルに、努力の先の向こう側が見えるのだろうか。青春の清清しさももないし、努力の美しさもない。
そういえば同性愛的シーンもあったが、これは必要だったのだろうか。印象に残らないほどだったが、なんか偏見が生まれそうな気がする。
で、とにかく音響がいい。嫌な音がとてもいい。