ノラネコの呑んで観るシネマ

恋は光のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

恋は光(2022年製作の映画)
4.4
なるほど「の」じゃなくて「は」ね。
女性の恋する心が眩い光として見える、特異体質の神尾楓珠が、西野七瀬と平祐奈と馬場ふみかからモテまくる。
だが彼は恋を可視化できるが故に、逆に恋の本質がなんだか分からない。
なのでとりあえず三人と、恋を定義するための交換日記を始める。
ずっと一緒だった幼馴染、自分と似て理屈っぽい文学少女、略奪愛こそ至高と考える肉食系、三者三様の恋のスタンスを見て、ますます恋の深みにハマり、自分が見ているものが本当に恋の光なのかも確信が持てなくなる。
本作の一番の見どころというか聞きどころは、小林啓一らしい独特の台詞回し。
神尾楓珠なんて思いっきり棒読みなんだけど、これがかえって独特の世界を作り出している。
誰もが語れるけど、正しくは語れない恋の正体。
これは恋をしたことのない主人公が、「恋の光」から「恋は光」と見出すまでの物語。
三人娘のキャラが魅力的だが、何気に彼女らの中では、一番可能性のなさそうな馬場ふみかが、物語の開始と〆る役割なのが面白い。
舞台となる瀬戸内・倉敷の情景もいい。