たぶ

恋は光のたぶのネタバレレビュー・内容・結末

恋は光(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

これは名作だと認定できる。
まったく無駄がなく、青春恋愛ものによくある病弱や余命幾ばくも系でもない。
初恋とか若い頃の恋愛はしがらみとか考えずにすごく純粋な「好き」がある。恋愛とは何なのかと、言葉での端緒を知りはじめた年頃の、キュンを視覚化、そして言語化しようとする試み。
交流を通して相手の感情を読み合う展開、オーソドックスな恋の過程ではあるが、だからこそ共感しやすい。見ている側は、歯痒くて心地よくて、この揺さぶられる感覚がエンタメとして良い。
光が見えちゃうとか、現実にはなかなかいないであろうしゃべり方の二人、まぁラブコメって言っちゃえば納得なんだけど、ほどよく言葉でいろいろ深く考えさせられる深みもある。

満点の5点でもいいのだが、わずかにある物足りなさとして、せっかく倉敷ロケなのだからもうちょっとロケ地の景色を感情を喚起する演出に使ってほしかったし、アユ釣り後にアユ焼きを食べるシーンにリアリティが無かったり…、パジャマパーティではあまりなにを食べたかの描写がなく、そのあたり。

理屈っぽい文学男子の西条(神尾楓珠)が、これまた理屈っぽい文学女子である東雲(平祐奈)に出会ったところからトントン拍子に恋が発展していく様が心地よいし、北代(西野七瀬)との会話によって感情を、明確に可視化していく。西条と東雲との間で、なんとなく気持ちは見え隠れしている北代、しかしオーラのように出るはずの光が出ていないがために、なんか踏み出せずに消極的に脇役に回ろうとする感じ、主人公らしい役回り。
最後の、北代から手を繋ぐシーン。不器用な西条と、それなりに仕切りができる北代との関係性から、しっくりくるまとめ方で、ハッピーな結末で後味も良い。

この作品は、原作がいいのか、小林啓一監督がいいのか、今後検証していきたい。

それから冒頭のアイスティをぶっかけられるシーンが、スローモーションで意味ありげで印象深くさせるシーンがあるが、結局はこの作品にとってそれほど意味があったとは言えない。宿木(馬場ふみか)のキャラと、北代&宿木のライバル関係を表現するのにスローモーションまでは必要ないと思う。
北代と宿木のキャラの違いは明確だが、キャスティング的に見た目の差別化はもうちょっとできなかった?

どなたかの感想に、この映画の世界に浸っていると気持ちが楽になる、ギスギスした世界を一瞬逃避でき、ほっこりできる、と。
確かに、登場人物みんなすごく優しくて、魅力的で、醜い部分とかは描かれていなくて、この世界に身を置いていたい気もした。
たぶ

たぶ