タカ

サバカン SABAKANのタカのレビュー・感想・評価

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)
4.1
イルカは寝たら溺れるらしい

大人の涙腺を壊しにかかる映画
あの年のあの季節
出会いと冒険
打ち解ける仲とふとしたすれ違い
そして
結ばれた絆と別れ
どうしようもなく涙がこぼれるのは自分もその道を歩いてきた共感があるから
それがいかに恵まれていたことか今となっては痛いほど分かるから
ノスタルジックな過去の道
感傷に浸り続けるわけではない
その道は現在へと繋がっている

「ジャッキーチェンよりもタフに見えた」
子供は純粋であるがゆえに傷つきやすくて傷つけやすい
久ちゃんが笑っていなかったということが竹ちゃんには大きなことで
友達と思われていないんじゃないかと竹ちゃんが不安がったことが久ちゃんには大きなこと
ふとしたことが近づくきっかけにもなるし、遠ざかるきっかけにもなる
自分の周りに膜を張った大人になっては経験し得ないこと
そんな磁石のような吸引と反発が瑞々しい

「酸っぱいのだけ見繕った」
子供たちに干渉しすぎずに見守る大人たち
頼もしく恐く優しい
出演する大人たちがみんな良かった
優しい目で見守る
きっとそれが一番
個人的には名バイプレーヤーの岩松了さんが最高だった

「さばの缶詰を見ると思い出す少年がいる」
初めて遊んだあの日に交わした「またねー」がスタートなら
駅のホームで交わした会話で一区切り
あの頃話していた物書きになり、自分たちの思い出を作品にした久ちゃんを
「久ちゃんはすぐあきらめる」
と言っていた竹ちゃんはどう思うのだろうか
再会した二人は昔話に花を咲かせながら、夢を叶えたお寿司屋へと並んで向かい
そしてお店に着いたら真っ先に頼むだろう
最高に美味しいサバ缶寿司を…
「あの少年は今も友達だ」
タカ

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