ふぃるま

サバカン SABAKANのふぃるまのレビュー・感想・評価

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)
4.0
この映画、なかなかによい。

気持ちや状況を、セリフに頼らず、俳優の表情や仕草で伝えようとしている点に好感が持てた。

子どもたちがみんないいね。
ホントの家族みたいに見える。いいなあ。
主演の二人、なんとも言えない表情を見せてくれる。泣けたな〜。

子供の頃、さよならのとき、相手が見えなくなるまで手を振ってたり、声が聞こえなくなるまで「バイバイ」を繰り返したり。
そういった純粋な頃の自分が蘇ってきた。

あと、子供って実は100パーセント大人を信頼しているわけではなく、あんな大人になりたくないなあとか何処かでちょっと思ってたりして、そういうところも嫌味なく描写されていて良かった。

物語は、昔の想い出に現在の自分が力づけられるというもの。
まあ、あるっちゃある話で新鮮味はないのだが、現実味のある描写が全体を引っ張って、最後までうまく見せてくれた。


いっこ難点を言わせてもらえば、80年代っぽさはあまり感じられなかった。
やっぱこういうのは、流行やファッション、文化などで表現したいところなのだが、それがちょっと物足りなかったかな。
もしかしたら権利関係で使えないネタがあったのかもしれないが、だとしたら勿体ない。
そして私はそういった現代の製作事情に首を捻ってしまう。


この際、著作権に一言言わせてもらおう。
こういうの、書籍によくある「引用」という解釈で自由に使えるようにならないものか。

例えばこの映画にドラえもんの単行本が出て来たからと言って、小学館や藤子プロの利益を阻害するわけではあるまいし、ドラえもんを使っているからと言って、この映画が儲かるわけでも無かろう。

そりゃあオリジナルを傷物にしたり、明らかに営利目的なのはダメだと思うが、なんでもかんでも盲目的にアウトにしたり高額な使用料をふっかけなくてもいいだろう。映画の鼻歌にも著作権がからんでくるなんてうるさすぎるよ。

東宝の映画に仮面ライダーのフィギュアが、東映の映画にゴジラのTシャツを着たキャラが出てもいいじゃん。そういうのが自由な創作というものだ。
そして長い目で見れば、誰もが自由に創作できる環境こそが文化の成長に繋がると思うのだが。
ふぃるま

ふぃるま