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サバカン SABAKANのWNTのレビュー・感想・評価

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)
3.9
鯖の缶詰を見ると思い出す子ども時代の友達。
彼はいつもタンクトップを着て教室で絵を描いている男の子だった。
平成に移り変わる昭和の終わりごろ、小学五年生の夏にクラスメイトの竹本とイルカがいるというブーメラン島を目指して旅に出る。

子どもの頃広い世界に何があるのか心を躍らせまだ見ぬ何が待っているのかと期待を寄せて知らない場所へ飛び込んでいくあの高揚感。
苦楽を共に乗り越えかけがえのない一日になりふたりの絆は深まっていく。

暑い夏のあの日は言葉にできないほどの思い出が詰まっていていまも心の中に生きている。
あのときの何気ない会話ややりとりが大人になった自分を作り、辛くなったときに子どもの頃を思い出し支えてくれる。

草彅くんの優しく語りかけるような声でストーリーは進み、過去の思い出のアルバムをひとつずつめくっていくようなわくわく感や懐かしい気持ちが溢れ出す。

自然体のキャストが素晴らしく、久田の両親はどこにでもいる家族に見えるけれど愛情深く両親は互いを必要とし支え合っていることが子どもの目からも分かる。
竹本の母親やみかんのおじいちゃんもいいキャラクターで親しみやすく彼らを見守る視線も温かい。

ラストまでコンパクトにまとまりスムーズに進むストーリーも観やすくて分かりやすく暑くなってきたこの季節にぴったりな作品だった。
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