demio

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのdemioのレビュー・感想・評価

4.0
自分は"何でも"であり、ここは"どこでも"であり、時間・場所・自己が境界を失ったとき「出来事」はなおも叙述可能か、という問いを2時間半ずっと発し続ける。
むろん、可能である。出来事は、その媒体=主体の名が、絶えず明滅し、切り替わり続けても、(なおも)(なぜか)まったく同一に保たれる形式性によってこそ担保されるからだ。と下品な話法を駆使して確言してくれる。こういう態度を「ギャグ」と呼ぶんだろうなと思った。

人種のるつぼと言われる国で、「いまここにいる私は別様にありえたかもしれない」という偶有性にさらされるマイノリティの問題が撮られた映画であるため、極めて抽象的な主題なのに、極めて具体的なアメリカ・ローカルの映画でもある。
それを日本人が見て愉しむことの困難がプリセットされていると思った。
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