たんぐすてん

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのたんぐすてんのレビュー・感想・評価

3.9
視聴通算512作目 2023/68作目、映画館鑑賞24作目 2023/3/4 映画館

最近話題のマルチバースに初めて大きく触れることになる映画はマルチバースの片鱗を見せているMARVELでもなく、これからが楽しみなDCでもなく、これまた少しずつ広がっているSONYスパイダーマンでもなく『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』であった。

最近何かと話題に上がってくるマルチバース。
マルチバースの位置付けは難しく、各々の解釈に委ねられるため、あのMARVELでさえ、少しずつマルチバースという概念を浸透させていっているというのに、今作は2時間という長いようで短い時間の中でマルチバースの概念を観客に理解させることに成功している。

A24の作品はあまり好きではない。
なんなら一つも自分にはハマっていない。
しかし、タイトル興味をそそられ、劇場に足を運んでしまう。
そして上映開始直後のA24のロゴで後悔するというのがいつもの流れ。
今作はA24の作品だと知りながら見に行ったためその後悔はなかったが、一抹の不安があった。それを完全に覆してくれた。

小ネタ多し、ギャグ多し、恋愛ありのてんこ盛りなのにA24味のあるグロさ、趣味の悪さを忘れない作り。
まさにタイトル通り「エブリシングエブリウェアオールアットワンス」であった。

趣味の悪さと言えば最初にジョイがエヴリンにベーグルを見せる時の手の交差は完全に小学校の頃に「ヴァギナ見たい?」「じゃあ手をこうやって...」というふうにして行っていた遊びの交差の仕方で笑ってしまった(笑ってたの自分だけ)。

さらには犬を蹴ったり、途中でカオスになるのもA24味があった。
カオスになってしまうところがこの制作会社の微妙な点だと思っていたが、今作はカオスにならないようにとアルファバースが画策しているという根底があったためにカオスにならざるを得ないというか、なるべくしてなったと感じられ、A24批判者、(ワタシ)へのアンチテーゼとなっていた。それがすんなりと入ってきたからカオスでも見やすかったし、もっと欲していた。

小ネタでいうと完全にありもので戦う点はジャッキーチェンだったし、キーホイクァンが最初に警備員と戦う時に使ったウェストポーチは『グーニーズ』のリッキーが腰につけていたベルトに酷似している。ご本人だしねー!

ある意味でのワタシへのアンチテーゼ、A24入門編&トラウマ克服編、アクションや恋愛、ギャグなど全てを一度に楽しめる映画であり、この制作会社の映画の中ではお気に入りになった。
自分にあってない作品だらけだったってのもあるけどねっ!