ピートロ

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのピートロのレビュー・感想・評価

3.9
映画における「冒頭から何が起こってるのかわからない状態」というのは基本的にワクワクするので、シャマランやノーランのような作品は大好きなのだが、なぜか本作ではイライラした。
スクリューボールコメディのような出だしも、ただせせこましいだけでどうも味わいがない。
バースジャンプのトリガーとなる奇矯な行動や下ネタ、動物虐待ネタ、ピクサーパロディなどのすべてのギャグは残念ながらスベッていた。
マルチバースがザッピングのように激しく切り替わるアクションが、本作の着想の出発点なのかなと想像。ここは新鮮で刺激的で楽しかった。
結果としてはハマらなかったが観てよかったし、過度な期待をせず「評判いいみたいだけど、あくまでもA24だかんな」ということを念頭に置いておけば楽しめると思った。

他のユーザーの感想・評価

まるちばーすすごい(語彙力)。

物凄く異次元にぶっ飛んだ似た者母娘の親子喧嘩と家族と理解とカンフーと確定申告の映画だった。何だかよく分からないけど最後の方泣いてた。何かよく分からないけど面白くて凄い映画。
「説明は後!」って言ったまま説明せずにマルチバースに飛び込んでグイグイ引き摺られて最後まで辿り着いている様な吸引力とスピード感。

ミシェル・ヨーのマルチバースそれぞれのみすぼらしかったり、美しかったり、な表情とカンフーアクション格好良い。
通常癒し系夫とイケメンアルファ夫のギャップも良。
特に娘・ジョイ役の女優さんが物凄く良かった。表情といい台詞のトーンといい滅茶苦茶引き込まれる。正直一番輝いてた感。

またポリコレガー!って騒ぎたがる輩をうるせえって殴り付ける自然な人物設定キャラ設定が気持ち良い。
父親のゴンゴンと夫のウェイモンドと共に税務署に確定申告をしにきたエヴリン。今日は夜から新年のパーティーもあり、気が落ち着かない。関係があまり良くない娘のジョイのことも心痛の種だし、税務署の担当はいけすかない白人女。何もかも上手くいかない自分の人生に焦りを抱いていたエブリンだったが、税務署のエレベーターの中で人生の転機が訪れる…

いろんな情報源からネタバレ喰らう前に見てきた。これだけはどうしても劇場で見たかった。キー・ホイ・クァンをデカいスクリーンで見たかったから。「インディ・ジョーンズ」と「グーニーズ」でのクァンが好きだったんだよね。可愛くて。見たらクァンのイメージPVか?ってぐらいに色々な姿が見られて満足した。

期待値が高かったから、正直ハズレても仕方ないかなと思ってたけど、予想以上に奇想天外で一瞬も退屈しなかったのが驚き。ストーリーは割と王道だけど、アイデアがふんだんに盛り込まれていて、映像も演出もよく練られてた。VFXを今時のゴリゴリな感じにせず、少し前の時代のアナログな感じにしたのは正解だと思う。役者の良さが生きる。

そして、なんといっても役者が良い。ミシェル・ヨーとクァンがこれでもかってぐらい魅せてくれる。でも個人的には、ジョイ役のステファニー・スーが1番良かった。girl next doorといった感じで普通に友達にいそう。それでいてオーラがある。ドラァグクイーンのように多種多様な服を完璧に着こなしていてちょっと感動した。役者としての器がおっきい。

この作品が性質上、ある一定の層から拒絶反応を示されるのは想像に難くない。でも、個人的には、この作品が誰かを救おうと作られているように感じて、暖かいと思った。

ところで。全体の作風が何かに似てるなと観ている間ずっと考えていた。帰り道でふと思いついたのは今敏監督の「パプリカ」「Perfect Blue」だった。あの荒唐無稽さと映像の賑々しさがよく似ている。そして、登場人物が世間からはみ出した人々というのも、共通のテーマとしてある気がする。「千年女優」はまだ見てない。
ikmmmb

ikmmmbの感想・評価

-
ずっと意味わかんないのに、何故か最後は感動してる自分がいて、まじで意味わかんなかった。観終わった後の気分がとても良い。
ヒーローはいないけどマルチバースを扱う映画。普通のおばさんがマルチバースの巨悪(娘)と対決する話…。

まどろっこしいこと言ってるが要は中華向けヒューマンドラマ。

【キャスト】
(ワン一家)
エヴリン・ワン・クワン:ミシェール・ヨー
ジョイ・ワン:ステファニー・スー
ウェイモンド・ワン:キー・ホイ・クァン
ゴン・ゴン:ジェームズ・ホン

(税務署の人)
ディアドラ・ボーベアドラ:ジェイミー・リー・カーティス

(その他)
ビッグ・ノーズ(犬虐待):ジェニー・スレイト
チャド(アライグマ):ハリー・シャム・ジュニア

監督は、スイスアーミーマンのダン・クワン氏。

【ストーリー】
クリーニング屋を営むエヴリンは、間抜けな夫、レズな娘、気難しい父親、税務署からの追い込みと山積みの問題を抱えて疲れ果てていた。税務署に領収書の直しを指摘された期日、エヴリンは夫と父を伴って修正申告に向かうのだが…。

【総評】
(全体感)
正直、期待値には及ばない出来だった。属性てんこ盛りの設定(アジア、ゲイ、ユダヤ)は胸焼けしたし、言いたいことあり気のストーリーはマルチバースという笠がなければ平凡極まるレベル。マルチバースなんて設定を使わずにストレートに文化紹介映画にしちゃった方が良い気すらする。(フェアウェルみたいに)

(戦闘)
なんだろう、数あるマルチバースをインプットにして戦う割にはカンフーやらシェフやら看回し職人やら肉弾戦特化のキャラしかおらず、バリエーション不足を感じる。全盛期ジャッキーなら一人でこなしてると思う(笑)

あと、ディルドヌンチャクとけつ穴プラグまではギリギリ許容するが、犬武器するのはちと不快。

【あとがき】
今日は一本見るのが限界なのでフェイブルマンズと二択をミスったかなとちと後悔。
mokomoko

mokomokoの感想・評価

4.0
イオンシネマ市川妙典。
カンフーとマルチバース!全編カオスすぎて頭が混乱するが逆にそこが何とも言えない面白さを醸し出す・・・オジサンになったキー・ホイ・クァンがいい味出してる(笑)
すみません。よくわかりませんでした、、

真剣な顔で変なこと言ったりするので笑えるところはあるけど映画館という空間ではmiss match感、、
Akiyoshi

Akiyoshiの感想・評価

3.5
バカバカしさ極まってる。自分にあった可能性の分岐も。「この自分」だからできることも。なんでも、どこでも、いっぺんに。そして家族愛。
どんな人にも物語がある(目の前の相手にも。それが好きな人でも嫌いな人でも)という当たり前のことをドラマチックに提示することによってリアリティを持たせている。

すべてを識って、自分を、そして目の前の相手をそのまま丸ごと受け入れちゃったエブリンの目が仏像の目みたいだった。

最高で最強の愛の物語だった!愛って最高~!この監督の作品の中ではいっとう好きです。
plantseeds

plantseedsの感想・評価

4.5
『人生』

そんな映画だなあと思いました
マルチバースがひとつテーマの作品ですが、MCUの作品と比べても、より、現実味のあるマルチバース。
本当のマルチバース。

人生のあったかもしれない可能性。
それら全てひっくるめて、人生だなあと。


変なところ沢山ある作品だけど、自分は素晴らしい作品だと思います。

表面的には、アカデミー賞有力なことに疑問を抱きたくなりますが、観て納得。

劇中の主人公エブリンは、あらゆる可能性の中の最低を送っているという設定。
だからこそ、ポジティブに、失うものはないからこそ強いんだな。
何にだってなれるんだなと思った。
解釈次第。何もないって、本当は最強なのかも知れない。


最後の着地も、好きです。
〜All at Once〜

多くの可能性を、選べるとして、最後にエブリンは何を選ぶのか?
ジジイ

ジジイの感想・評価

3.5
マルチバース全体から見れば、ランドリー店バージョンのエブリンはかなりの負け組なのかもしれない。だがその落ちこぼれゆえに無尽蔵のポテンシャルがあるという設定は泣かせる。それはまるで未だ何者にも成りきれていないが、逆にどんな自分にも成れる可能性を秘めた小さな幹細胞のようでもある。社会で成功をおさめたり順風満帆の人生にはやはり憧れてしまうけど、挫折や苦悩が一切存在しない人生は、それはそれで怖い気がする。人と人を分断するものは怖れからくる憎しみであり、その憎しみの正体は「愛されたい」「解り合いたい」という欲求そのものの裏返しなのだろう。映画の発想は面白いけど、ちょっと長いし期待しすぎたのかそこまでハマらず。
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