まく

すずめの戸締まりのまくのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
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ポスト宮崎駿という言葉は無意味だとは思うが新海誠は1番そのポジションがふさわしい監督になった。
宮崎駿は、人類は発展した文明を閉じることをできず、自滅する未来を描き続けた。人類の業の深さへの絶望と、一度リセットし再生する物語を。
新海誠は、必要ならば人は閉じていくことも学び生き続けられると、未来をポジティブに捉えている。
確かにそれは時代の空気に合致する。
天気の子において、狂った世界にもなお順応し逞しく生きる少年少女に、大丈夫と下したその先の作品として、無根拠な楽観とも受け取られたその結論への回答とも言えるであろうテーマ性。
未来の地球環境のために終わらせていかなければならない様々な分野がある。時代の変化と共に失われていく文化もある。
個人的な生活や人間関係においても何かしらの整理や終わりは訪れる。終わることを否定でも肯定でもなく前向きに受け入れる、その感性こそこれからの時代に求められる生き方なのかもしれない。
そういった感覚を、戸締りという言葉に集約させたセンスでもってもうこの映画は観賞に晒されるまでもなく何らかの勝利を収めている。
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