ヴレア

すずめの戸締まりのヴレアのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
2.3

このレビューはネタバレを含みます

かなりオカルトチックな話だった。

地震を引き起こしているのは"ミミズ"という謎の物体の仕業。白石晃士監督作品によく出て来る"霊体ミミズ"に似ている。

そのミミズは廃墟にある扉から出てきており、戸締師が扉を閉じる事で地震を抑える事が出来るのだという。
また、大地震を抑える為には"要石"というものが必要らしい。

日本各地を旅しながら扉を閉めるというロードムービー的な内容で、最初は面白くなりそうな予感に満ちていたのだが、ミミズとの対決がちょっとワンパターンで飽きてしまった。結局力づくで扉を閉めるだけだし、その際に唱える呪文もちょっとダサいし。

あと、主人公の行動原理があまりにも恋愛脳過ぎる。もう少し草太との交流を描いた後だったら良かったのだけど、椅子になるのが早すぎたし、あの状況ですぐ旅に出るには説得力を欠いていたように思えた。

また、あくまでファンタジーとしてなら問題無いが、"3.11"というワードを出してしまうのはあまりにも狙いすぎてるというか、せっかくエンタメとして楽しんでいたのに急に現実に引き戻されるようで冷めてしまった。
ほら感動するでしょ?って感動を押し付けられてるように感じられて、素直に受け取る事は出来なかった。
震災をドラマに絡めたフィクションはこれまでにも沢山あったけど、ここまでお手軽にエンタメとして消費されてしまうのは違う気がする。

物語の内容としても、これだと戸締師が"扉を閉めるのに失敗した"から3.11が起きたという事になる。なのに、そこに対して何も答えが用意されていないのは不誠実に思えたし、当事者であるスズメが何も疑問を持たないのはおかしいと思える。やっぱり都合良く3.11を引用したと捉えてしまう。
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