鎌谷ミキ

すずめの戸締まりの鎌谷ミキのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
5.0
【意図に気づくと心が震える】

[OPあらすじ]
九州に住む17歳のすずめ(声:原菜乃華)は謎の青年(声:松村 北斗)から「この辺に廃墟はないか」と尋ねられ近くの廃墟を教える。すると、廃墟から謎の物体が吹き出てきていた…

[レビュー]2022.11.18 近場シネマ朝一
*ネタバレ出回ってきたけど、できるだけ抽象的に記す。これ読んでも核心には触れてないんで。
「新海誠本」読みながら書いてるけど、企画段階から気合いを感じられる。

既にご存知の通り、OP12分が先行公開され観ることができる。つまり、その続きを観てきたんだけど、着地点が予想外すぎて…

あれがこれになったり、猫みたいな物体は一体何者か、何故叔母と暮らしているのか、何故最期の場所はあそこなのか。

本作の企画は2020年に遡る。そう、コロナ禍。だからこそ意味のある話だと感じた。子どもには少々難しいお話だが、高校生ぐらいからだったらその"意図"が汲み取れると思う。

過去作をすべて観ているわけではないけれど、新海監督の新たなチャレンジだと感じる。ファンタジーとリアルの融合といえば、細田守監督を浮かべがち。「新海誠本」読むと、意識をしてなければ本来はそのテーマで描こうとしていなかったらしいので、肩透かし。この二人を並べではいけないと感じた…作品で描きたい物のベクトルが明らかに違う方向を向いている。

OPから物々しいので、そういうファンタジーだと見ていくと、序盤からすずめが旅をする話になっていくことが意外と効いてくる。そう"ロード・ムービー"としての映画でもある。

これが一つの要素で、他に2つもある。特に後半に詰まっているので、一つの要素が刺さった私からすると、ロード・ムービーはかわいいものである。本人も言ってるけれど、直近2作の中でコミカルなのに、根本的なテーマが一番深くて重い。それも本作の魅力なのかもしれない。

本を読んでいて気づいた!確かにいろんな世代の女性が出てくる。叔母のタマキとの関係にも注目です。ここまでくると"女性"の映画だね。

途中までははぐらかしてたらしい私が心震えた一つの要素なんだけど、制作終盤に使命感を持ってそのテーマに取り組んだと知り、私たちはその本気度を見守ることが使命とも思える。誰だって、そう。あの事柄をかるんじて描いてる作り手なんていない。私には響いた。一文一句聞き逃さないようにして、涙が止まらなかった…

'エンターテイメントで死に接近することで、自分は生きていて良かったと思える'
新海監督のチャレンジはまだまだ続く、きっと。

今回も新海流職人技をご覧ください。
原作、脚本、絵コンテ、編集(ほら、こんなに役割減ったのに他人に委ねる気ゼロ)、イメージボード、色彩監督。減った方だな…

協力:Spotify!最近コラボ多いな!
こちらは無料でいつも利用させてもらってるよ。
劇中歌は昭和ヒット曲リストかな?かなりよかったよ。

「新海誠本」欲しさに待てませんでした…2回目行こうと最初っから決めてたから。徐々に増えて行く感想。

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[関ジャム]
「すずめ」デモ二つあって、出だしは①で、サビは②というように、いろいろ試行錯誤されたそうですね。映画館で予告観た時から、トリハダ立ってました。一番好きな曲!

音無しのビデオコンテを見て、野田さんが曲を作り。そして、手直し。さらに手直し。新海監督、最初がいい…なんでやねーん。

[2回目レビュー]2022.12.11
おかわりはIMAX®レーザー / GTテクノロジーに決ーめた!
ということで109シネマズエキスポシティで観てきました✨

控えめに言って最高でした🥰スクリーンも音響も違うし、これが「600円の違い」なんだなと。ちなみに、2Dですのであしからず(IMAX用に背景を付け加えたというエピソードもある)

今回はかなりすずめの気持ちに寄り添えました。冒頭の意味がわかった上なので。リピーターはそこが知りたいんだと思います。すずめの旅とは何を指しているのか。最終的には、何がゴールなのか。2度観て、その意味を最初から理解するということをしていくわけですね。

[「新海誠本2」小ネタ]

・草太のお父さんは"閉じ師"じゃなく、普通に教師。その影響で草太は教師になろうとしてます(余談、草太の部屋にあった本は実際に教師になろうとする人用の本のラベルとカレが教えてくれました)

・このお話の時間経過は5日間、ロード・ムービーにしては短め'たった数時間であっても、何日にも何週間にも感じられてしまう'

・当然ネタバレも書いてます。そこには触れないでいますが"サダイジン"と"いすが三脚のひみつ"が載ってるので、気になる方は急げ劇場!なかなか深いお話です。設定が細やかな、流石新海監督!

・焼きうどんにポテサラ、監督オリジナルレシピじゃなかった🤣'何か簡単な工夫をしてみんなで食べるみたいなシーンが好きで'

・ラッドの野田さんのお気に入り作品は『秒速5センチメートル』やっぱり、アーティストだね!

・前記の通り、やっぱり本棚にはこだわっているようです。すずめの本棚には看護師関係の本があったとは…

・"すずめの旅"というのが載っています。名台詞"常世"など意味深ワードもあり、読み応えバツグン(決して宣伝ではありません…)

[クロ現]
監督の感じてた"後ろめたさ"私も共感しました。確かに、当事者ではないんですよね。

大震災を経験した人、経験してない人。それぞれ同じ感想なわけがないんですよね。それを覚悟の上で描いた監督の心意気はインタビューで伝わってきました。

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[3回目鑑賞]
2023.1.3 地元シネマ巨大スクリーン

新鮮さは薄れてきたものの、観ていない場所(キャラクターに埋もれた背景の空とか)、音楽、俯瞰してキャラを観るようにしたので本編では泣きませんでしたが「すずめ」で溢れる涙…

[環さんのものがたり]
ラッキー、ラストページに新海誠(コピー)サイン付き!さすが、脚本も書かれているだけあって、新海監督は文才がありますね✨

いろんなパートに分かれて書かれている感じ。環とすすめの出会い、2ヶ月後の誕生日そして…、現代。特に重要なのが、すずめの5歳の誕生日。本編を観てから読むことに必ずなると思いますが、これは見方が変わります。環さんのシーンが。

特典4弾は流石に出ないかな…まだまだ巨大シアターを埋める魅力的作品!
鎌谷ミキ

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