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東京2020オリンピック SIDE:AのTSのレビュー・感想・評価

東京2020オリンピック SIDE:A(2022年製作の映画)
2.4
【アスリートの活躍を切り貼りしただけ】55点
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監督:河瀨直美
製作国:日本
ジャンル:ドキュメンタリー
収録時間:120分
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 2022年劇場鑑賞31本目。
 開催される頃からまあこの手のドキュメンタリーは必ず作成されるだろうと思っていましたが、まさか本大会がこんな形で開催されるなんて当初誰も予想していなかったでしょう。そのせいで、今作は今後曰く付きの映画として名を残してしまいそうです。大阪に住む自分からすると無責任な話になってしまいますが、やはり東京に住んでいる人からすると、こんなコロナ禍の中でオリンピックを開催するのは良い迷惑以外の何者でもない。常識的に考えて人命優先のため、開催は中止されるべきものなのですが、一筋縄ではいきません。一般人には見えないドロドロとした金の動き、そして強大な力が働いて開催にいたったのでしょう。そんな曰く付きとしか言えない東京オリンピック2020を記録したドキュメンタリー映画も存在自体評価がわかれるところ。しかも大胆に二部構成としてきたから驚きです。今作はサイドAと称して、アスリート側から見た視点となっています。しかし、結果的には何を映したいのかよくわからない仕上がりになっています。正直なところ、オリンピックを開催するか否かという意見を取り除いてフラットな気持ちで鑑賞してもよくわからない出来。ただただ様々なスポーツの映像を流し、アスリートのインタビューをしただけであり、映画としてはかなりお粗末。これならテレビ局が編集したハイライト集を視聴する方が有意義でしょう。

 それにしても東京オリンピックというものは本当に不運です。有名な話ですが、1940年にも東京オリンピックは開かれる予定でしたが戦争の最中であったため中止。今回は史上初の延期でもあったため、つくづく運がないとしか言いようがありません。2020年東京オリンピックが決定した時の映像などを見返すと虚しくて仕方ありません。それほど、コロナというものは脅威であったのです。それでも諦めないのが日本の国民性というのか、いや、悪く言うと責任をなすりつけあうどうしようもない国民性も垣間見えてしまいます。奇しくも開催できたものの、開会式が行われた国立競技場のまわりにはデモ隊が集結した有様。もはや独裁政治と言わんばかりの状態ですが、果たして今大会の開催を望んだ人は世界中にどれくらいいたのでしょうか。永遠の謎です。

 残念ながら今作はよくわからないまま迷走して、とりあえずアスリート達の勇姿を映しておけば良いという流れで撮られた作品であり、お世辞にも良作とは言えません。確かにアスリート達の思いは必死であり、様々な葛藤があったためそこは汲み取らないといけません。そこを考慮してこの点数です。アスリート達が出ていないとこの映画は欠点ですね。ただし、そんな今作も大逆転を狙える可能性は十分にあります。それはサイドBの出来栄えに委ねられます。もしサイドBがアスリートを支えた側と称して、開催に至るまでのドロドロの状況を撮りきっていたら素晴らしい作品と化すでしょう。ただ、これが本当にただ支えた人間だけのインタビューや様子で終わるのならば、いよいよ怒り心頭の二部駄作となってしまいます。誠に申し訳ありませんが、これでは多くの国民の意見を無視して、私たちはこんなに苦労したのですよとしか伝えない自己満映画となってしまうからです。今作が関係者達の免罪符的映画にならないことを祈りたいです。
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