taka

モリコーネ 映画が恋した音楽家のtakaのレビュー・感想・評価

5.0
情報量と密度が濃い至福の157分
モリコーネが指名したジュゼッペ・トルナトーレ監督が5年間撮り貯めたインタビューなど映像素材が素晴らしく充実
彼の言葉や時に歌声でかなり詳細で音楽的に踏み込んだ部分まで語られていたと思う

マエストロという言葉は彼のためにある言葉で副題もしっくりくる
トランペット奏者〜前衛実験音楽を取り込んだアレンジャーを経て映画音楽の世界へ
大きな葛藤があったというがその素養は運命的必然しかないというもの

映画の中のワンシーンでしっかりと決める美メロ、声や楽器が効果音も兼ねる実験的な音使い、モンドミュージックの香り漂うマカロニウエスタンを代表する楽曲群などは映画音楽の概念そのもの
映画音楽だけではなく音楽の可能性も広げた功績は計り知れない

錚々たる著名人がコメントする姿も彼の偉業を裏付ける
彼の曲をカヴァーしたアーティストも多数紹介されるが、マイクパットンが登場するならジョンゾーンにもオファーして欲しかったところ(モリコーネ楽曲のアルバムとネイキッドシティ名義のシシリアンは名演)


写真や少しの映像のみの出演だったが夫人との関係性がとても素晴らしかった
彼女に捧げたスピーチは本心からのものだろう

90歳とは思えない若々しいモリコーネ
90で映画音楽を引退したというがこれは本当のことに
日本未公開作品も興味深いものが多く、彼が関わった作品が更に好きになる
一映画、音楽ファンとして感謝とお疲れ様を言いたい
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