◆あらすじ◆
第二次大戦中の1943年、イギリス首相のチャーチルの命により、イギリス諜報部のモンタギューとチャムリーはドイツ軍に真の攻撃計画を悟らせないために、イギリス人将校の死体に偽の攻撃計画の書類を持たせてそれをドイツに信じ込ませる作戦を実行しようとする。しかし、作戦の実行には多くの困難が立ちはだかり、モンタギューたちは精神をすり減らしながら対処していく。
◆感想◆
第二次大戦中にイギリス軍がドイツ軍に仕掛けた偽情報による誘導作戦を描いた作品となっていて、偽の死体に偽の攻撃計画を持たせてそれをわざとドイツ軍に入手させるという奇抜な作戦に従事した人々の心情の変化を丁寧に描いており、人間ドラマとして見ごたえのあるものになっていました。
主人公のユーエン・モンタギュー(コリン・ファース)はイギリス諜報部に所属しているが、表向きは弁護士であり、常に二面性をもった生き方をしていて、なかなか本心のつかめないキャラクターだと思いました。しかし、ストーリーが進むにつれて彼の表情が曇るシーンが多々現れてきて、精神的に追い詰められているように感じました。
モンタギューの相棒としてチャールズ・チャムリー(マシュー・マクファディン)がいて、共に作戦を実行する立場である一方、上司であるゴドフリー提督(ジェイソン・アイザックス)からモンタギューの監視を命じられていて、モンタギューと完全に信頼し合える関係とは言えませんでしたが、作戦を最後までモンタギューとともに携わっており、苦楽をともにした間柄であることは違いないと思います。
ストーリーとして、作戦として死体の選別から始まり、彼の偽の素性づくりから偽の恋人づくり、偽の攻撃計画の作成とかなり細かく描かれていて、そのディティールの細かさが本作にリアリティを持たせていたと思います。また、死体の恋人として情報部の女性事務員のジーン(ケリー・マクドナルド)に協力を依頼したことから、モンタギューやチャムリーとジーンが恋愛未満の淡い関係が継続していく展開は意外性があって面白かったです。
ストーリー後半になると、トラブルが続出して作戦の実行に対してモンタギューたちが疑心暗鬼に陥り、曖昧な状況の中で作戦の成否が揺らいでいく展開は観ていてハラハラするものがあって、見ごたえがありました。
派手な展開は一切ないですが、戦争の裏側の部分が丁寧に描かれていて最後まで楽しめました。とても面白い作品でした。
鑑賞日:2025年3月19日
鑑賞方法:CS ムービープラス
(録画日:2024年2月16日)