A8

神々の山嶺のA8のレビュー・感想・評価

神々の山嶺(2021年製作の映画)
3.0
なぜ人は命をかけて山に登るのだろう。

孤高の登山家とあるジャーナリストの、山にかけた生涯を描いた作品。

主人公の羽生は、周りを顧みずただ山に登ることに深く惚れ込んでいた人物だった。
しかし、ある時自分のパートナーが登山中に落下死してしまう。
そこから彼は、得体の知れない“何かに”囚われたようにより“山”に対してのめり込んでしまう。それはもう山無しに彼は生きれないように。
一方、ジャーナリスト深町はある山の取材先で登山界最高のミステリーの証拠とも言える写真の存在を知る。
マロリーはエベレストに登頂できたのかどうか、、?
この正体を明かすことができれば、登山界の歴史が全く変わってしまう。
彼は、その鍵となる写真(カメラ)にこれまた囚われたようにのめり込んでいってしまう。そうしてそれを追っていくと、羽生という人物に行き着くのであった。

この不思議な縁が交わった時、
なぜ人は命をかけて山に登るのか、、
その問いに終止符を打つ時が来る。


フランスのアニメーション映画だが、日本の作品が原作となっている影響で、
日本人なのに、場所が日本なのに
フランス語というカオスな状況に最初は戸惑いを感じたが、そこは一旦受け入れることに。

映像としてはさほどリアルなタッチで描かれているわけでく、表情や繊細度はあまり高くない。だが、
さすが山が舞台の映画、雪や吹雪の凍てつく寒さ、白い雪が太陽を反射し激しく照りつける様など、山の脅威に関しては十分伝わってくる印象を受けた。

また、異なる目的を持つ2人の人生が
徐々に交差していき
彼らの問うていた“なぞ”により
まるで正しい答えへと誘導されていくように物語が進んでいった印象。

なぜ人は命をかけて登るのか。
それは、彼らにとって生きるということそのものなのだから。

なぞやミステリーの答えが出たとしても決して満足することはない。
それらよりも深い核心につくような“生きる意味”のようなものが山を通してみつかったようだったから。

目的を追っていた過程で、その当初の目的よりももっと深い目的を見つけたといった印象。それは、確かにリアルな現実でもそういうことはあるだろう。命をかけて“何かに”向き合えば。
A8

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