たく

評決のたくのレビュー・感想・評価

評決(1982年製作の映画)
3.8
ポール・ニューマンが渋かったねぇ。
しがない弁護士のフランクが小金稼ぎのために小さい案件を引き受け、示談で終わらすつもりが正義心の芽生えから裁判に持ち込んで戦っていく話。

冒頭、弁護士としての仕事を得るために新聞の死亡記事で調べた葬儀会場に紛れ込んで知人と偽って名刺を配ってたり、仕事がないので酒浸りの生活を送ってるというどうしようもない姿が描かれる。これが何で急に改心するのか不思議なんだけど、過去に彼の正義心が元で出世の道を絶たれたことが分かってくる。
医師の不正を暴く強力な証人がいるので必ず勝つという自信をもって裁判に臨んだところ、たぶん相手側の弁護団の策略でこの証人が急に1週間の国外旅行に旅立っちゃって裁判に間に合わないという絶望展開。
裁判官と相手の弁護団がグルみたいな感じで絶対に勝たせないという姿勢で、どうしようもなく不利な状況に追い込まれていくのが怖いね。

ファム・ファタールとして現れるシャーロット・ランプリングがいったい何者なのかが見もの。最終弁論で陪審員に静かに正義について語りかけるフランクがジーンと沁みる。
BGMを極力排した地味な作品だけど、シドニー・ルメット初監督作の「十二人の怒れる男」に通ずる骨太さが感じられる。
たく

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