ゴルバチョフ時代、エリツィン時代のソ連から独立を図ったリトアニア、その国家元首であるヴィータウタス•ランズベルギス氏の回想録でした。🇱🇹
リトアニアといえばバルト三国の一番南、美しき森と湖の国として知られる東欧の至宝です。個人的には、何かの本で読んだ「十字架の丘」がある国というくらいしか予備知識のない国でしたが、ソ連成立以後はいわゆる「白ロシア」として組み込まれていたようで、語れる事が少し増えました。
本ドキュメンタリーはそんなリトアニアで1990年前後に起こった独立運動の全貌に迫ったものでした。
4時間10分+日本の観客に向けた特別インタビュー映像10分とかなり長尺の映画でしたが、いつソ連に攻め込まれてもおかしくない緊張感や、誰を信じついていくべきか迷う国民の姿、政治的駆け引きのピリついた空気が視聴者に全く隙を与えず、かなり画面に飲み込まれました。
一つの国が出来るというのが、一体どういう事なのか。それをこれほど間近で体験できることはそうそうないでしょう。ほんと観に行って正解でした。非常にドキュメンタリーとしての質が高い。
そして、今回の視点では敵陣営に鎮座するゴルバチョフ氏。
つい今年の八月に鬼籍に入られた彼ですが、2000年生まれの若輩者にとっては世界史の一登場人物であり、東西冷戦を雪解けへと導いた物腰の柔らかい指導者みたいな教わり方をしたものです。
しかし、隣国であるリトアニアからすれば彼の表情はまた違っていて、まだまだ知らない事が多すぎると痛感させられました。
だからこそこういう史実や、先人の話には耳を傾ける価値が大いにある。学ばなければなりません。
ランズベルギス氏の語りと至近距離から政変を捉えた映像のシークエンスが、リトアニアの激動の時代を過不足無く伝えきっていたと感じます。
リトアニアの独立から約30年が経過した現在、欧州を巡る状況は皆さんも知っての通り芳しくありません。
大きな国も、小さな国も、老いも、若いも。必要なのは「忍耐」であると同氏は我々に投げかけます。
1人の日本人として、僕がここから学び取るべき態度とは、一体何なのだろうか。
丁寧に考え抜いて行きたいなと、そう強く思わされました。