8637

彼女のいない部屋の8637のレビュー・感想・評価

彼女のいない部屋(2021年製作の映画)
3.4
記憶を手繰り寄せるかのような彼女の原始的な姿から始まり、手にするポラロイド全てに意味を持たせて映画を終える。捉えどころのなさに心掴まれる。遮断されたような二つの物語が波の如く混ざって離れる。想像すら彼女が現実だと思い込んで生きればそれが常識になる。なぜ?どこへ?...

「家出をした女性の物語、のようだ。」1行のストーリーを知らずに観ると面白さが半減するかもしれない。違和感を感じて鑑賞途中にコンセプトを調べた自分は堪能しきれなかったかもしれない。
音楽の使い方が良く、娘の弾くピアノと息子の鳴らすEDMの対比が印象的だった。

アフタートークのゲストの方が指摘する部分が的確すぎる。彼女の行動に感じた異常性を理解し、"想像"と"現実"を自分の中で整理し直したら、この映画の訳分からなさを見て見ぬふりしていた事を後悔した。これは劇場で没入しながら全てを捉えるべき作品かもしれない。
8637

8637