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ケイコ 目を澄ませてのmのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
4.0
静かなのに音に満ちていて、音の使い方が巧い。冒頭のひとつずつ音が重なっていくところとかミニマルミュージックのようだとも思った。でも主人公は耳が聴こえなくて、それらを音として認識することはない。
日本語字幕付きの回で観たので字幕で「○○の音」と注釈が入る。聴者の自分は音を「○○の音」として聞くわけではなく耳に入ってきた音を何の音だろうと考えてから解釈するけれど、音を文字で伝えるにはすでに解釈された形でなければならないのだという当たり前のことに気づく。
滅多に笑顔を見せないケイコの目の表情がとても強くて、孤独の力強さを感じる。人と人が分かり合えるという幻想を持っていないように見える。話をしたって人はひとりだけど、お互いに関わり合うことはできるし、ひとりでも走っていける。
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