このレビューはネタバレを含みます
ノーナレの拡大版のような、淡々とした感じだった。
コーダ的なものを期待した人はがっかりするかもしれない。
でも、主人公の実在感はこっちの方がある気がした。
ケイコにとって社会とのつながりは常にあやふやで、通じあえたと感じられる瞬間は少ない。
殴ると気持ちいいと感じるのは、それが確かな他人の手触りを与えてくれるからなのかもしれない。
ラストシーンで何かが解決するわけではない。でも、それぞれが、少し前向きになって画面の外に帰っていったような気がする。
岸井さんの広背筋その他の役作りはすごかった。
手話の賑やかさにあえて頼らず、いま起きていることを理解したいという観客の気持ちを没入感につなげる演出もよかった。