はちみつ小町

ケイコ 目を澄ませてのはちみつ小町のネタバレレビュー・内容・結末

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

ケイコの耳が聞こえない分、生活音が大きく響く演出がされていて、私達はこの音の中で生きているのかと驚いた。

映画は、岸井ゆきのという女優の力を思う存分発揮した作品だと思った。流石は、日本アカデミー主演女優賞!

主人公のケイコはがっつりボクシングにのめり込んでいる訳でも闘争本能が強い訳でもない。ただ淡々とボクシングや清掃の仕事をしている。その心の中がごちゃごちゃなのは見て伝わって来るんだけれど、本人自身が進みたい方向を分かっていないので、こちらも応援出来ない。心配する弟は「人はひとりなんだから」と突き放す。

転機となるのはジムの封鎖。居心地の良かった環境の変化。それを嫌うケイコ。試合ではKO負けしてしまう。たくさんの人がケイコを応援しているのに、気が付かない。ジム閉鎖の記念写真を見て一区切りついたのか、人(同じ清掃の仕事をしている仲間)と関わり出すケイコ。ラスト、ロードワークをし始めるケイコに『ああ、ボクシング続けるんだな』と思った。何かを続ける事で道が出来て、出会いもある。ケイコは新たなステージに向かったのだ。