社会のダストダス

X エックスの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

X エックス(2022年製作の映画)
4.1
いつもホラー映画で悲惨な目に遭ってしまうミア・ゴスちゃん愛護団体の皆様に朗報です、逆襲の時が来ました。しかもこれがあと2作観られる予定のようです。本作を観る前に3部作構成であるということを知ったこともあり、Netflixオリジナルの『フィアー・ストリート』シリーズに非常に近いものを感じた。ラストの予告を観る限り、キラーのバックボーンを掘り下げる前日譚に遡っていくシリーズ構成まで似ている。

製作会社A24のホラー映画、と言われてもすぐにはピンとこなかったけども『ウィッチ』に『ミッドサマー』と特定の変態の需要に応えた作品を世に送り出しているので、これは期待できそうな気がする。生足をクロスさせて『X』に見せているジャケット画像のスケベなセンスからも、すでに製作陣と気が合いそうだ。

ミア・ゴスちゃんといえば『マロ―・ボーン家の掟』での絶叫顔が今もまぶたに焼き付いている。あの瞬間は「殺しに来た人より怖い絶叫顔」として私の中で殿堂入りしている。初めて画像であの顔見たとき、そういうバケモンが出てくるホラー映画だと思っていた。ロマコメの『EMMA』ではコミカルなキャラクターかと思いきや、遺憾なく可哀そうな人になっていったし、気の毒な役を演じさせたら右に出る者はいないかもしれない。

本作はそんな絶望の申し子であるミア・ゴスちゃんのポテンシャルを100%活かし、顔面、流血、おっぱい、ワニ、ジジ、ババと属性過多な105分。思えば何度か出演作を観たもののどれも主演では無かったので、エンドロールでのミア・ゴスちゃんのクレジットを見てさらに驚く。こんなのヒントが無ければ『サスペリア』のティルダ・スウィントン並みに気づかないわ。

内容は言ってしまえばヤって殺るだけのホラー映画だけど、2022年でもまだまだそれだけで素材の味を活かしたオリジナルホラー作品が創れるものなのかと、期待以上に多乃死慰(たのしい)映画でした。本作で知ったジェナ・オルテガちゃんの絶叫も前述の『マロ―・ボーン~』の戦慄絶叫顔を彷彿とさせるものでまぶたに焼き付く。あと全裸にオーバーオールは神でした。

パール婆ちゃんの最期の言葉、2作目の予告の時点でキャスティングの一人は分かっているので、すでに3作目はどうなるべきかを期待させてしまう煽り方は上手い。そう遠くないうちに2作目は観られそうなので、しばらくは楽しみなホラーシリーズの登場に歓喜する。