竹野康治郎

マイ・ブロークン・マリコの竹野康治郎のレビュー・感想・評価

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)
3.7
漫画原作の実写化である今作品は85分という時間を濃密にさせるとと共に、言葉では表現しにく世界観があります。リアリティがありながら、リアリティないストーリー展開で、だけど、どっかでこんな世界があるんだろうと思わせてくれます。それは永野芽郁さん、奈緒さんの演技が素晴らしく、2人の世界観にひきづり込まれるからだろうと。

あらすじにもある様に、厳しい環境で育った2人には2人にしかわからない世界があって、それは鑑賞している私たちにも、そういった世界観があるかと思います。だからこそ、2人のやりとりや演技がリアリティを生み出しているのかと思います。一方で、遺骨を盗んだり、会社の在り方だったり、後半の出来事だったり、なんか「そんな展開ある?」という非リアリティがあるからこそ、この物語の先に、この作品を通して「何を伝えたいのか?」を表しているのではないかと思いました。

死んだ人間に今できること
死ぬ前の人間にできること
生きているうちから助けられること
生きているうちから伝えられること

それは自己満足か、それとも罪悪感から、はたまた生きることはなんなのか。まさにタイトルにある意味するものを85分で感じながら、考えさせられた作品です。

2022年公開作品 30作目
竹野康治郎

竹野康治郎