10円様

マイ・ブロークン・マリコの10円様のレビュー・感想・評価

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)
3.6
うわ!マジこれ⁉︎
めっちゃ地元!私の実家、映ってんじゃね?ってくらい地元!青森に行く話ってのは聞いてましたが(厳密に言うと劇中では青森に行くとは言ってないけど)まさかここまで自分に縁のある地だったとは!もうそれだけでこの映画は私の中で名作と認定されました笑

初めにめっちゃどうでも良い事を書きます。
私、篠原健太先生の「SKET DANCE」って漫画が好きだったんですよね。
キャラの1人に山野辺先生ってのがいるんですが、この人、主人公たちにクソゲーを紹介しては主人公たちがそれにハマってしまうんですよね毎回。そのクソゲーの中で「壊れてしまった特別な真理子」ってのがありまして、これはファンシーユンピューターっていうハードのソフトです。
主人公たちはソフトをセットして起動します。すると、めっちゃスーパーマリオのロゴで「SPECIAL MARIKO BROKEN」って出てくるんですよ。
このエピソードめっちゃ好きで何回も読んでたので、本映画「マリコブロークン」って覚えちゃいました…

 そろそろ日本アカデミー賞の発表がありますが、正直日本の映画賞の中で最もつまらない賞なのでは?と思っています。理由は100個くらい挙げられるけど、その中の一つに女性監督が評価されないってのがあります。日本には女性特有の感性で映画を生きているように表現できる作家が何人もいますよね。河瀬直美、西川美和、荻上直子、安藤モモコ、横浜聡子。本作の監督のタナダユキもその1人です。彼女たちの作品は日本アカデミー賞では評価の対象にはまずなりません。日本で女性の映画監督が大々的に評価される事は、この時代になっても未だ無いことで、その現状が全く炎上しないってのもまた問題なんだとは思ってます。日本においての映画ってのは、そのレベルのものなのかな?特に社会を動かす力は無い…的な。
でもそのクセにジムウンギョンが賞獲ったら「何で日本の映画賞なのに韓国人が賞とるんだ?」って騒ぐんですよね。もう恥ずかしいからやめてくれ。

 タナダユキ作品は全部観てると思うんですが、どこかからか作風が変化したって印象があります。
 たぶん「赤い文化住宅の初子」を最後に、人間ドラマコメディを作るようになった。というか商業的な監督になったというか。まあそれは監督としての実力が認められたって事なんだろうけど、私としてはちょっと残念でした。中には「ふがいない僕は空を見た」「ロマンスドール」のような挑戦的なのもあり、これは本当にテーマを女性の切り口で描いていて、いやらしさが無く素晴らしいと思いました。
 本作はまた昔のタナダユキに戻ってきたという感じですが、90分もない尺の中で収まるような内容ではなかったのかな?もっと描写が欲しかったところがあります。ちょっと投げっぱなし感はあったかな。シイノとマリコの関係はしっかり描けていた分、その周囲が弱かったなぁ…

タナダユキ監督、この一つ前の作品が「浜の朝日の嘘つきどもと」っていう凄い名作だったんで、それと比べてちゃったんですよね。あれには敵わないですよね…
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