Taku

午前4時にパリの夜は明けるのTakuのレビュー・感想・評価

4.0
一家の人生の瞬間と80年代のパリの空気感を切り取った物語。ノスタルジーを感じる、夜に合う作品。少し焦点が定まっていない気はするが、それも人生か。ゲンズブールが実母ジェーン・バーキンと娘役で共演した『カンフー・マスター!』をどうしても思い出してしまった。

他のユーザーの感想・評価

こぽん

こぽんの感想・評価

4.8
何かを補うような出会い、当然のような顔して訪れる別れ、素晴らしい恋やセックス、お約束のプリン。どんな些細な出来事もいびつで愛しい人生をこの作品は形作っていた。
家族や友人、恋人や同僚、自分の大切な時に誰がいてくれたのか優しく柔らかく問いかけてくれた。色々なものを背負ったまま離れたり近付いたり、なんとか寄り添いあって生きていきたいと思えた作品だった。
aymm

aymmの感想・評価

4.4
あたたかなリビング。
光がたっぷり降りそそぐ部屋に集う家族の時間は、何にも変えられない。
乳癌と離婚を乗り越え、懸命に育てた娘と息子。
成長した子どもと交わす会話は、これほど尊いものなのか…。
鑑賞後、多幸感に包まれる一作でした。

「アマンダと僕」では音楽は控えめに使われていた印象でしたが、本作ではふんだんな音楽演出によって1980年代の雰囲気や、ファミリードラマ色をより濃く感じられたように思います。

タルラの最後の決断も、人生変わらないものはないという普遍性を感じられたし、家族でもそうでなくても大切な人や場とは適切な距離感があることで育まれる人格もあると思うので、とても納得しました。

いや〜しみじみ素敵な映画でした☺️

お気に入り★★★★★★★★☆☆
おすすめ ★★★★★★★★☆☆

「午前4時にパリの夜は明ける」
2023🇫🇷111min

・*.____関連おすすめ映画____.・*
#アマンダと僕
ミカエル・アース監督過去作。こちらと、もう一作「サマーフィーリング」は喪失とささやかな希望をテーマにした作品。今回の作品は家族に焦点を当てて、よりあたたかみのある作品になりましたね☺️過去作の悲しみがしとしと降ってくる感じも好きです。

#それでも私は生きていく
現在公開中。こちらもシングルマザーの生き様を描いていて、大人に沁みる作品なので共通しているかと☺️同時期に少し違うけど同系統の感動を得られる素敵な作品が公開されてて幸せ…🌱
映画『午前4時にパリの夜は明ける』を鑑賞。

夫の浮気による離婚に伴い、シングルマザーとなった女性とその子供たちと、
あるコトから知り合う家出少女との出逢い等を描く。

よくわからない雰囲気系の邦題といい、魅力的ではない予告編といい、それほど期待してませんでしたが、これは思わぬ拾い物。いい映画でした。

1980年代の話なので、全編当時ヒットしたんであろうっぽい曲が流れます。あまり好みとは合致しませんが、それが妙に映画の雰囲気を盛り上げていたのには感心しました。
一

一の感想・評価

-
他人は記憶の破片
見やすく作られていて、演者たちの雰囲気がいい
hrm

hrmの感想・評価

3.8
少女みたいなシャルロット・ゲンズブールに、さすがの貫禄!エマニュエル・べアール。
80'sな音や、柔らかな画質の安心感。
甘い耳障りの発音。
深夜のラジオスタジオ、映画館、図書館。
好きなものでいっぱいだった。
予告で見た時から惹かれていた「映画館は好き。忘れられるから…」という台詞、本編でもいちばん好きでした。

一時期見過ぎてもういいかな?と思っていたフランスのほっこりヒューマン。
ピンとくる要素があったなら、改めて観てみるのもまた良き◎
重過ぎず軽過ぎず、ちょうどいい濃度で長い余韻が残って、その心地よさは自分の部屋のようでした。
ジン

ジンの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

シャルロット ゲンズブール主演のフランス映画。
80年代のパリが舞台、昔の映像や古いフィルム🎞️で80年代ぽくしている。
映画に刺激を求めてる人にはもの足りないかも。みんなタバコ吸ってるのは時代かな。
チャンスがやってきたら柔軟性をもって手に入れれば、明るい未来が訪れるはず。

シャルロット、笑うとやっぱり可愛い。そしてタルラ役の彼女、ジプシー風だけれど幼顔で魅力的。
「夜のしじまのなんと饒舌なことでしょうか。今晩は、城達也です。ジェットストリーム…」
みたいなの、彼の国にもあったのですね。ディスクジョッキーと聴取者の会話で成立するところはFMというよりAMラジオの深夜放送ではありますが。
とかいう話が通じるのは50年代生まれ以前の方々でしょうね…。

にしてもジェーン・バーキンの娘さんの素敵なこと。乳癌の手術痕をサラリと見せる演出のさりげなさ。
最近の特集上映で『なまいきシャルロット』をご覧になった方には余計魅力的なだったんではありますまいか。
垢抜けた大人が演じる正統派ホームドラマって、やっぱりフランス映画は洒落てますなあ。
モラン

モランの感想・評価

3.7
シャルロットもタルラもパスカルオジェも声の可憐さからは想像が難しい力強い内側にとても惹かれる
「満月の夜」をスクリーンでまたみたいな
ようやく観れました。色に例えるなら薄い水色のような、形にすると細い線のような涙が流れました。

ある人が言っていました。ミカエル・アースはセックスシーンを撮れる作家だと。私もそう思います。
人間の根源的な営みをそれとして、一種の意思疎通の手段として、物語に必要だから撮る。ミカエル・アースにはそんな至って自然な成り行きを感じます。しかし我々日本人は、キスを含めた愛の意思疎通を恥じる文化の中に生きており、それを映画に取り入れた時、自ずと躊躇いは生まれます。致し方のないことだけれど、やはり多くの日本映画のセックスシーンは、エロティックを避けようとして寧ろ卑猥になっているように感じませんか。
国民性とは、好意的に受け入れられるべきものだとは思いますが、私はしばし、プラスとは反対側の感情を感じずにはいらません。
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