ゆりな

午前4時にパリの夜は明けるのゆりなのレビュー・感想・評価

3.7
映画館で見逃したミカエル・アースの新作。
風邪で何もできない土曜の昼に観たのだけど、こうやってボーッとフランス映画を平日の深夜に眺めるのが好きな自分を忘れていて、思い出した。

シャルロット・ゲンズブールが主演なの、本当にミカエル・アースの過去二作が評価されたんだろうなぁと思う。

ミカエル・アースの作品は部屋が印象的。
おしゃれで住みたくなるけれど、悲しげに見えてぽっかりしている。
本作、いわゆるタマワンなのだが横に広い窓と夜景が印象的で大好物。

年齢とかシングルマザーとか関係ないんだな。

明け方、仕事から帰ってきて息子とハグとキスして「ココア作るわ」ってスーツでタバコ吸ってるだけで絵になること。
昔のフランス映画、とりわけそれこそシャルロット・ゲンズブールが10代の時に出ていたようなやつ……と思ったけれど、そもそもミカエル・アースの撮り方自体がそう。
たったワンシーンを切り取っただけで絵になる。

シャルロット・ゲンズブールの歌うようで、落ち着きのあるフランス語が気持ち良くて、ミカエル・アースの作品らしい空間系の音楽が心地よかった。

公式のコメントでシトウレイが「『見る』というより『眺める』」と寄せていてその通りだなと。

以下ネタバレ


・「終始切なくて物悲しい雰囲気が漂うシャルロット・ゲンズブールに、時折小さな笑みが溢れるのを眺める作品。」と思っていたのに、映画の中盤では8年後になる。
そこではすっかり悲しさが消えていて生き生きしてて安心した。

・3年経って表情も明るくなり彼氏もでき、思い入れがあろう家を引っ越し前に進む主人公に比べて、家族がいなくて孤独なタルラ(ノエ・アビタ)がベッドで涙を流す姿が印象的だった。人生両方あるよねぇ。
ゆりな

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