かわさき

息子のまなざしのかわさきのレビュー・感想・評価

息子のまなざし(2002年製作の映画)
4.3

 ダルデンヌ兄弟の映画には、丁寧な説明が一切ない。音楽で場面を強調したり、何かメッセージを付与することもない。彼らの作品では、観客側に能動的な態度が求められる。ともすればカメラ酔いしかねない画面から、内容を咀嚼するのに必要な情報を汲み取らねばならない。

 この作品は典型的なダルデンヌ映画である。登場人物と共に苦しみ、作品が示唆する問題について考える。口頭であらすじを説明しようとも、おおよそ理解が得られるとは思えないプロットだが、この作品から放たれる説得力は絶大だ。人間の不確かで曖昧な部分を淡々とした筆致で追ってゆく。画面に映る工具は、そんな危うさを表現するモチーフとして巧みに描かれていた。

 鑑賞後、もう一度この映画のパッケージに写る少年を見返して欲しい。ダルデンヌの子供に対するまなざしを、少なからず感じられるはずだ。